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アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-124-

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 体が軽くなる。上へ向かう速度が落ちて来、“てっぺん”に達しようとしている。
 彼女は超絶の銃に力を込める。20キロを持ち上げるのではなく、向きを変えるだけ。
 更に言うと、この銃は人工衛星と同じ姿勢把握制御システムを内在しており、“だいたい”の方向に向けさえすれば、自分で適当に首を振り、向きを保ち、照準に任意波長のレーザを撃ち込む。
 12キロ彼方の標的に選んだのはX線レーザ。レントゲン撮影に用いる放射線のレーザである。
 銃を構える。銃自身が、上昇から静止し、落下に転ずる動きに合わせて、銃口を引き上げる。
 銃身と、銃自体のスコープと、自分のゴーグルとが一直線を成す。
 ロックオン。
 引き金を引く。銃が自ら左から右へ銃口を振り動かす。自分は手首に加わるその反力を、モーメントを相殺する。
 6名14の照準ポイントへ向かい、ほぼ一瞬で不可視のエネルギが投じられる。
 14の照準ポイントで次々火の玉が生じたり発煙したり。
 黒ずくめの者どもが、各々の得物の異変に気付く。
 しかし、彼女は者どもに続くアクションを許さない。
 ビームモード、メーザ。すなわちレーザと同じ性質を備えた電波。
 それを用い、今度は右から左へ銃を動かす。
 黒ずくめそれぞれ所有の携帯電話、クルマの電波鍵等の電子機器が煙を噴いてポンコツになる。警棒もアルミ合金製ゆえにメーザを受ければ灼熱化。
 島のおじさん達が者どもを襲った変化に気付き、逆襲に転じる。及び、自分の役目は終わった。
 落下に遷移する身体を、そのまま万有引力に任せる、大の字に手足を広げ、超銃を手から放す。
 轟と音を立てて我が身は落下し、柔軟でしなやかな膜に受け止められた。
 一旦沈み込み、膜が反発して跳ね返り、再度飛び上がる。風が吹き、風が止まり、逆方向の風になって再度膜に落下する。

 

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