アルゴ号の挑戦~東北地方太平洋沖地震~【魔法少女レムリアシリーズ】-128-
が、その水しぶきは油分の多さ故に次々着火し、火の粉散らしたようになる。
ピン2発。
『右方、焼損建造物接近』
『おう』
ラングレヌスは水面上に顔と腕を出し、流れてきた木造の小屋と思しき焼けぼっくいをレーザで切断した。ガラガラと崩れ落ち、彼は埋まったが、布団の中から這い出るように押しのけて姿を現す。
水面埋め尽くし炎を上げるガレキの上を歩いて行く。まるで火山の中を歩いているよう。
「大丈夫かぇ」
漁師さん達には見えない。レムリアはほぼオレンジ一色のタブレットを向けて、
「はい。この炎の向こうに大型船が打ち上げられているようです。その船が盾になって炎から免れています。その代わり、私たちが中へ入ることも困難です」
ラングレヌスからピン。
同時に、タブレットに赤文字が流れた。
生体反応。体温赤外線、筋電力のリズム。
生きている人がいる。
『無茶を承知で言う。火を消せ。人手も欲しい』
レムリアはその程度なら何とかなるかもと思った。この船の能力を持ってすれば。
ただ、具体的な手段が……何か出来るはず。後はどうやって……。
すると。
『帆膜を敷け。アリス行くぞ。相原、周辺を監視し炎の挙動を読み取れ。接近したら押し返せ』
そうだ帆膜だ。船長に先に言われた。
『アイ』
『了解』
アイと答えたのはアリスタルコスである。了解は相原。
アリスタルコスと船長アルフォンススの大男2人がそれぞれ長銃を肩に甲板へ出て来た。
『準備良し。操舵室、帆膜を広げて振り下ろせ。コンテナを押し広げて移動線を確保』
『アイ』
シュレーターの声があり、中央、第2マストが展帆しながらコンテナ船へ叩き付けるように振り下ろされた。さながら芭蕉扇だ。
炎は一瞬、吹き払われた。が、空気中にオイルミストが充満しているようで、空気が着火する。
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