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【理絵子の夜話】差出人不明-3-

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「ババア何か言ってた?」
「出席が、って。他のクラスの個人情報をよくご存じのようで」
「足りないか。しょーがねーな」
 二人は下駄箱へ歩く。
 部活上がりの同級生たちから奇異の目。
 理絵子はそうした視線を受けるたびに、この少女が外見からは判らぬ傷を心にひとつずつ増やして行くのを良く知っている。
 同学年だが1つ年上。外見はいわゆる不良。でも少女は少女であり、薄いクリスタルガラスのような心の持ち主であることに何ら変わりはない。
「面倒ばっかり悪いな。ったく、ババアもこっちに直接言えばいいのによ。口ではえらそうなこと言って。オレってそんなに怖いか?」
「大人が気にするのはまず外見と世間体。自分なんかその典型的被害者」
 理絵子は言うと、スタンダードなままのセーラー服を広げて見せた。
 もちろん、化粧はおろか装飾品の類は一切身につけていない。かばんも学生用の黒い革かばんそのままである。
「あたくしもミニにした方がカワイイかしら、とか思うんだけど、親の仕事があれだから、『示しが付かないことしてくれるな』ってね。しょうがいなから髪の毛だけ違反ギリギリにしてる」
 それは伸ばしてりぼん、の部分。校則では髪を肩より伸ばす場合は“三つ編み”である。聞けば昭和40年代からだとかで、当然、ブーイングの嵐。
 桜井優子はフッと笑って、
「お前ってホント面白いな。しかし警官の娘が不良のお守ってのもなんだかな」
「自分が名前で呼ぶのは優子だけだよ」
 理絵子は笑って応じた。
 楽しい。この少女とお喋りするのが本当に楽しいと思う。そして、恐らくはここまで通じ合えるのは、クラスの中で二人の立場が似たようなものだからだという気がする。
 この少女はその外見と“同学年だけど年上”であるが故にみんなから距離を置かれている。
 

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