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【妖精エウリーの小さなお話】アイドル-01-

 
 目の前を女の子が落ちて行きます。
「いやいやちょっと待って待って」
 私はひとりごちて飛び出し、落ち行く長い髪を追います。
 追いついて、両腕で彼女を抱き締め。
 一気にブレーキ。地上アスファルトまであと少し、そんなところで静止に成功。
 彼女が私に気付きました。
「あなたは……天使……」
「いいえ」
 意志込めて私は彼女を見返します。確かに着ている装束は天使に見えるかも知れません。toga(とが)というギリシャ神話でおなじみの白い布をまとっていますし。
「あなた翼がある……」
「これは翅です」
 私は残ったあと少し……を羽ばたいて降り、翅を止めました。
 背中に翅の生えた女。
「妖精、です」
 言って腕から彼女を解放すると……何のことはない、清涼飲料水を手にしてニッコリ微笑む彼女の姿が後ろのビルの広告看板。
 アイドルとして知られる……そうですね、仮の名を涼(りょう)、としましょう。彼女です。
 飛び降り自殺を図ったと知れます。ええ妖精ですから超感覚の類いは一式持っています。
「大丈夫、警察に届けたり事務所に戻したりしません……でも死ぬ必要があるとも思えない。そこで提案、少し姿消す、失踪或いは誘拐。いかが?涼」
「どうやって……」
「テレポーテーション。秘密の呪文はリクラ・ラクラ・シャングリラ」
 もちろん、口にしたので呪文は効力を発揮します。ビルの谷間が背景チェンジ。その変化の仕方はさながら映画かテレビのドラマか。
 湿原に変わります。彼女の右手、丘の上には古代ギリシア風の白い神殿。
「ここは……ギリシャ?」
「いいえ。私のような生命体の住む国。幾つかありますが、ここは妖精が主体なのでフェアリーランド」
 私は言い、近づいてきたミツバチに右手を伸ばします。
 

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