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【妖精エウリーの小さなお話】アイドル-04-

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「すごい……ことだよね。妖精、だもんね。そうだよね」
「ハチミツはあの辺」
 私は構わず、大きな栗の木、根元の穴を示します。中に大きな、そうマンションとでも呼びたいような、ミツバチの巣。
 ぶんぶんハチたち飛び交っていますが、彼女ら(働きバチはメスです)が、私たちに敵意を持つことはありません。
〈エウリーさんだ〉
〈エウリーさん〉
「ハチミツを少し下さいな」
〈いいですよどうぞどうぞ〉
〈あ、人間さん?人間さんの女の子?〉
「ですよ~」
 私は答え、手品の要領で袖口から小瓶を取り出し、巣の中に手を入れて、紙細工のようなその一部をめりめりっと破って拝借。
 搾り取ったミツは小瓶の半分はあるでしょうか。
「お行儀悪く指でぺろぺろどうぞ」
 渡すと、涼は面白そうに笑い、指先を入れ、そのようにぺろり。
「……美味しい。何これ、全然違う。濃いし」
「混ぜ物無いとそんな感じ。ハチたちありがとね」
〈いいえ~〉
〈女の子さん元気になってね〉
「え……」
 涼は目を丸くし、飛び交うハチたちを見上げました。
「判るの?私の体調」
「生き物は気配を察知出来て当然。気配って、存在感、でしょ」
「なるほど」
 と、答えた涼の頭上にそれこそ気配。
〈女の子、ハチミツなめたか?もう終わったか?〉
 先ほどのヒバリです。そういえば『後でまた来る』と言ってはいました。
「はい、なあに?」
 私は手のひらを出し、ヒバリを止まらせます。ちなみに地上を歩き回る鳥なので、スズメやツバメのように電線や木の枝に止まるような足の構造になっていません。
 ヒバリは降りて来、涼の顔を見つめて目をぱちくり。
〈歌って〉
「え?」
〈天国へ迎える子がいる。迎える子がいる。来られるように歌って〉
 私はヒバリの意図と目的を理解しました。ですが、どう説明しましょう。
 

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