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【大人向けの童話】謎行きバス-18-

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「あ、はい。分かりました」
「ありがとう!いや~子ども達喜ぶなぁ」
 センター長はニコニコ。本当に喜んでいるようである。
 自分でいいのなら。雄一は少しうれしくなった。
 
 
〝木の実センター〟は、元々ここにあってつぶれたスポーツしせつを、センター長が買い取ったものだという。管理人室だった部分に、いくつか部屋をつぎ足したのがセンター長の家。しゅくはくしせつが子ども達の部屋。バスケットとバドミントンのコートがあった体育館がホール。
 庭は元々テニスコートだったそうだが、ほじくりかえして土べたの運動場に。プールは周りを土で囲んでほったらかしにしたところ、いろんな虫やカエル、さらにはイモリまで住みつくようになったとか。カエルがいればヘビが来るし、結果として、人以外の生き物の方が、数が多くなったという。
 午前9時。
 ホールの真ん中あたり、固まってワイワイしている子ども達の前に、雄一はセンター長と共に立った。人数は、ザッと見て雄一のクラスの半分くらいであろうか。幼い感じの子が多く、雄一と同じくらいの子は一人二人、6年生以上はいない感じだ。
 そして、子ども達の後ろには、運転士の佐伯さん、尚子さん、あと、お手伝いの方だろうか、割ぽう着の女性が二人。
 子ども達が自分を見てあれこれしゃべってるのがよく分かる。ちなみに、ジムグリはうでに巻きついたままだ。そりゃ、変だろう。でも、はなれてくれないんだから、どうにもしょうがない。
 ヘビのしっぽが動いた。
「うぉあのヘビ生きてるぞ!」
「信じらんねぇ!かまれるぞ」
「毒ヘビだ毒ヘビだみんな逃げろ」
 わーきゃーと大パニック。
「はいはい大じょうぶだよ」
 センター長が落ち着いた声で言い、さわぎは一発で収まった。
 

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