2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

めーるぼっくす

無料ブログはココログ

« 【大人向けの童話】謎行きバス-37- | トップページ | 【大人向けの童話】謎行きバス-38- »

【理絵子の夜話】見つからないまま -05-

←前へ次へ→

 
 飛び石を歩き、玄関に近づいたあたりで、真言(しんごん=呪文)を唱える声が聞こえてくる。
 言ってるだけに過ぎないことは容易に知れた。
 桜井優子が玄関の引き戸を開ける。
「うるせぇぞインチキ拝み屋!」
 理絵子が思わずびくっとなるほど迫力のある声。
 唱える声が止まった。
「貴様だ!貴様がこの家の諸悪の根源だ!」
 唾吐きながら怒鳴り散らす様が容易に想像出る。下品で、高圧的で、外見だけ。声が大きいのも雰囲気作りの演出に過ぎない。
 イメージ通りの白装束の男が、廊下の奥からドカドカ歩いてきた。
 お地蔵さんをカリカチュアライズしたような、ずんぐりむっくりの体型。
 近くの高尾山(たかおさん)にも修験者がいるが、深山跋渉など、肉体を酷使するため、皆さん脂肪が無きに等しい。
 に、比べて、この男のたっぷりした体型はどうだ。
 首などまるでハムである。そして、そのハムには鈴なりのカボチャのような巨大な数珠をかけ、手には法具でやはり大型の独鈷杵(とっこしょ)。独鈷杵にもいろいろサイズはあるようだが、男のそれはこれ見よがしという言葉が相応しい小型バーベルサイズ。
(作者註:独鈷杵参考画像 https://www.narahaku.go.jp/collection/657-0.html 奈良国立博物館)
 
「優子、先生に失礼でしょ」
 おろおろした口調で和服の女性が歩いてくる。桜井優子の母親である。
「何言ってんだよ。勝手に人の家を悪霊憑きにする方がよほど失礼じゃねぇか。能書き垂れる前にその悪霊出してみろよ。結果に見合う対価払ってやるから」
「なにっ!」
 拝み屋は飛び出してくるかと思うほど大目玉をむいて怒鳴った。
 と同時に理絵子は気付く。この男が次の瞬間何するか。
 男の投げ付けた独鈷杵は、優子の顔に当たる前に、理絵子の学生カバンで遮られた。
 

« 【大人向けの童話】謎行きバス-37- | トップページ | 【大人向けの童話】謎行きバス-38- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【理絵子の夜話】見つからないまま -05-:

« 【大人向けの童話】謎行きバス-37- | トップページ | 【大人向けの童話】謎行きバス-38- »