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2018年10月10日 (水)

【大人向けの童話】謎行きバス-47-

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 しかし、こいつらの場合、少々、度が過ぎるようだ。
「オレたちの山に勝手に……」
 指をパキポキ、これ見よがしに鳴らす。
 雄一はこわい、とまず感じた。心臓がばくばく音を立て、手足がガクガクとふるえ出すのが分かる。
 いつもの自分であれば、ここで背後から堀長の手がのびてきて……。
 だが今はちがう。この弟みたいな隊員達に対して、一番の年長は自分。堀長の役どころは、自分がなすべき。
 ましてや、極めてひどい言葉で傷つけられたのだ。虫好きをなじるのも、しせつにいるのをなじるのも、どっちも同じ。全然、それが正しい理由など無い。むしろその逆。
 クソッタレが、と思う。そのクソッタレが、体の中で、心臓をばくばく言わせる気持ちと、ぶつかり合う。
 雄一は、おく歯をグッとかみしめた。
 
 そうだよ。自分以外のだれが、この弟たちを守る?
 
 男には負けると分かっていても戦わなければならない時がある……雄一はその言葉を思いうかべた。それは父親の持っていたマンガに出てきた宇宙海賊(かいぞく)〝キャプテン・ハーロック〟のセリフだ。あの言葉は、たった今の、この自分にこそ、ある言葉なのだろう。相手は3人。ボコボコになぐられ、けられるかも知れない。
 でも、ここで、弟たちを放ったらかして、しっぽ巻いてにげ出すことなんか、できるか。
 この弟たちの中にも、さきちゃんみたいな、ひどい経験をした子が、いるかも知れない。
 自分がにげて、またそんな目にこの子達をあわせるのか。
 それが、男のすることか。
 こいつらにクソッタレなセリフ、言いたい放題させておくのか?
 雄一は、一歩も、引かなかった。
「てめぇ!」
 3人がゲンコツをふりかざして食ってかかってきた。
 そのしゅんかん、雄一は体が反射的ににげようとしたのか、わずかに後ずさりした。
 

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