【大人向けの童話】謎行きバス-62-
そりゃ、バカそのものだろう。
雄一は3人がとてもあわれな存在に思えてきた。なんでオレ、今までこんなヤツらにびくびくしていたのか。
由美さんとの約束を実行するのに、ためらうことは、こわがることは、何もなかった。
「いいかげんにしやがれ!」
雄一は、どなった。
「ほりながせ……」
3人組がだまりこみ、びっくりした顔で雄一を見る。
でもすぐに。
「ひゅーひゅー。らぶらぶ~」
いつものように。
しかし、3人組に調子を合わせる者は一人もいなかった。
クラスの女子がずらりと並び、3人組をにらんでいる。他の男子たちは、その並ぶ女子たちの向こう。
女子たちの放つ、もうれつな〝いかりのパワー〟で、近づけないらしい。
「な、なんだよ」
「こいつ女に助けられてやんの」
今、クラスの女子はみんな自分の味方。確かにそうだろうと雄一は思った。
でも、それがどうした。
「女にきらわれる男に、1円の価値もないと思うが」
言い捨ててふりかえる。もう何言われても相手にする気もない。なぐりたきゃなぐれ。
しかし、3人組は何も言わない。言い返す言葉がないのであろう。
ぎゃふん、と言わせたとはこのことか。
でもそんなことはどうでもいい。雄一はめぐをのぞきこんだ。めぐは、ゆかに手足ついた姿勢のまま、お腹のあたりを押さえている。後ろでは他の女子がサイテーとか3人組をムチャクチャけなしているが、ハッキリ聞こえない。
「めぐランドセルを……。どうしたらいい?ホントに〝せいり〟なの?」
雄一はめぐの背負っていたランドセルを外しながら、目の前の女子に聞いた。
「分からないよ。ただ、だとしたら、お腹冷やしちゃいけないって聞いたことある」
「分かった」
雄一は体操着のふくろを取り出し、シャツを、センターで着ていた体操シャツを引っ張り出した。
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