« 【理絵子の夜話】見つからないまま -35- | トップページ | 【理絵子の夜話】見つからないまま -36- »

2019年3月 6日 (水)

【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、魔法使い) -1-

←レムリアシリーズ一覧次へ→

 
 
 後に言う“東日本大震災”の地震の直後、彼女が空飛ぶ船に迎えられて救助に飛んでいった話は、クラスのウワサと思いきや、あの日同じ班で行動していた級友達の誰もが口外していなかった。
 彼女らはそのまま遠足先の遊園地で行動不能となり、一夜を明かすのであるが、点呼の際に彼女がいないことにつき、“信じてもらえない理由”を言うわけにも行かず、“けが人に付き添って病院へ行った”、と、とっさに嘘をついたからである。その後、現在の落ち着き先である相原(あいはら)家から、無事でありあちこち病院を回っていると電話を入れたため、“病院に行った”で確定した。最も、相原家の言った“病院”は被災地気仙沼(けせんぬま)であり、学校側が想像したであろう千葉県浦安(うらやす)とは異なるのであるが。
 3年生一学期。
 クラスは2年生のまま持ち上がり。担任も存置。多くの中学校が同様であろう。1年を共にし、見知った仲間・教員と、高校受験を乗り切ろうという方策である。
「転入生を紹介します」
 担任の奈良井(ならい)という女性教諭は、学期頭の事務連絡が終わった後、そう言って教室前側の引き戸を示した。
「入ってきて」
 引き戸が動き、おどおどした様子で顔を出す男の子。
 男の子、と書いたが中学3年生である。ただ、思春期のこの時期、男子における体格外見の“変貌速度”には個人差があり、彼はどちらかというと幼い印象。この中学の制服である紺のブレザーも少しブカブカ。
 と、思ったところで彼女は立ち上がる。勢いで襞の少ないブレザースカートがふわりと動くほど。
「あっ!」
 思わず男の子に指を差してしまい、クラスメートの視線が集まる。伸ばし始めてショートと言うにはちょっと長めの黒髪、原宿辺りを歩いているとスカウトされそうな容姿の持ち主であり、周囲に光を放つような雰囲気をまとう。
 応じて記憶に残りやすく、男の子の方も驚いた顔で固まった。
0de36b0ae943b7617161040cb03daa24756faba0
(AIイラストレータ「彩ちゃん」に作らせてみた。黒髪じゃないが)
「相原……」
「姫子です。お久しぶり、諏訪利一郎(すわ・りいちろう)君」
 え~!!クラスは騒然となった。担任奈良井は一緒になって驚き声を上げ。
「はいはい君たちウルサイ」
「オマエモナー」
「黙らっしゃい。え、相原さんお知り合い?」
「ええ、郡山(こおりやま)の病院で。その後、確か信濃町(しなのまち)の……ああ」
 彼女相原姫子……帰化した日本名……は、ひとり合点がいって頷き、両の手を胸の前でパチンと合わせた。彼は津波で入院していた沿岸部の病院が使用不能となり、福島県郡山の病院へ移動。更に東京・信濃町にある大学病院の小児病棟へ移った。
 

|

« 【理絵子の夜話】見つからないまま -35- | トップページ | 【理絵子の夜話】見つからないまま -36- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、魔法使い) -1-:

« 【理絵子の夜話】見つからないまま -35- | トップページ | 【理絵子の夜話】見つからないまま -36- »