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【理絵子の夜話】見つからないまま -41-

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 スーツ姿の男性係員がプレゼンソフトを操作する。50インチに映し出される達筆で読めない本文。
「これによると『伊平は自ら妻の捜索を依頼しておきながら日夜……まぁ風俗通いですな。これにうつつを抜かしていた。まるで妻がいなくなって好都合と言わんばかりの有様で、一番怪しいのだが、何せ仏があがらない』とあります。当局は夫が怪しいと踏んでいたようですね。また、村人たちの証言録があって『祝言を挙げてしばらくは仲むつまじくしていたが、子どもができて口げんかが絶えなくなった』と。まぁ子ども生まれるとそればっかりですし、子どもってうるさいですからね。最近でもほら、虐待とかあるでしょう。あれに通じるものですね。まぁこういうの見てると、男って“女が好き”なのであって、それ以外はどうでもいいって感じがして同じ男として恥ずかしい限りですわ。ひょっとすると、同じ結婚でも、単に女とくっつきたいのと、家族を持つというのと、2通りあるのかも知れませんね。お嬢さんたちも……まぁずいぶん先でしょうが、男を見る目を磨いてください」
「はぁ……」
 およそ現実的でない話に二人は生返事。
「これ印刷出来ますがお持ちになります?」
「あ、ください」
 プリントアウトをもらい、博物館付属の喫茶室で昼食を取り、午後からは桜井家近くのお寺に。
 姉弟の埋葬である。調査した結果、お母さんがこのお寺に葬られていることが判ったのだ。そこで桜井家の方で二人を引き取り、お寺に永代供養を依頼したのである。大きな寺で、かれこれ300年になるという。
「これも一緒に」
 理絵子は住職に独鈷杵を差し出した。
「ほう。お若いのに珍しいのをお持ちですね」
 50過ぎと思われる眼鏡の住職は、少し感心したように言った。
「しかしどうしてこれを?」
「お守りです。二人の」
「なるほど。承知致しました」
「それと…過去帳って保管されていますか?」
「檀家さんの方ですか?最近はプライバシーの問題があって…」
「いえそういう最近のものではありません。例の事件で同時に見つかった古い女性について、古文書にはこちらで埋葬と」

(次回・最終回)

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