【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -6-
“大人の仲介”でなってもらった、お義理の“ともだち”。
「いーなー。オレも姫ちゃんに友達って言われてぇ」
これは平沢。但し、諏訪君に訪れた感情を踏まえてのものではなく、ボケてみたわけでもない。彼の素直な感情。
「良いお友達でいましょう」
彼女は“告白をやんわりとお断り”によく使われる言い回しで答えた。
「え?いいの?」
そうじゃねぇよ……と思ったわけだが、彼に“女の子の友達”が過去いたことないのは、火を見るより明らか。
「平沢、お前フラれたんだぞ」
突っ込んだのは辰野君。
「え?そうなのか?」
動揺。露骨すぎて滑稽にすら見える。
「知らんのか。“良いお友達”ってのは、防空識別圏に入って来ないなら、通り一遍のコミュニケーションは取るよって意味だよ」
自分、そこまでひどくする気はないが。
すると。
「あははははは!」
諏訪君が笑った。
それは、今日これまでの彼の言動からは想像出来ない反応。
何か言いたげな平沢を彼女は腕を取って制した。
「……ごめんなさい……楽しくて……僕、転校ばかりで、ちゃんとした“友達”っていないから……こんな、気を遣わなくていいや、って感じたことなくて」
平沢の誤解は解けたであろう……彼女は腕を離した。
が、不穏な気配。
自分たちの中ではない。外部から。ビームのような敵意の目線。
目を向けると行く手少し先より、自分たちを睨む目あり。
女子学級委員の柴崎(しばさき)。
「何か?」
彼女は先頭に立ち、詰問調で言った。同行の彼らが存在に気づいてそちらに目を向ける。
この柴崎という娘が自分を快く思っていないことは承知している。主として英語や地理など成績面のようだが、男子生徒と気安く喋るのも気に障るらしい。
数学と日本史の得点差で柴崎がかろうじて1番。
「何だよ。別にオレ近づいてねーだろ」
抗議の声は平沢。柴崎からそれこそ防空識別圏を設定されているという。
「なんつーか、お似合いだね」
果たして柴崎はそう言った。
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