【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -9-
その教員が更に遅れてきたどこかの生徒といがみ合う。
「ダメだ。何年何組だ」
「何でだよ。あいつら聞かなかったじぇねーか。汚え」
「遅刻した分際で威張るな……」
うるせえよ。
「……まぁいい。近所に迷惑だ。早く行け」
このやりとりに諏訪君は振り向いた。
「チェッカー珍しく優しいですね」
「ウチらの所為にされたらたまんないじゃん」
遅刻生徒が後ろから走ってくる。二人を追い抜きざま顔を見て行き……彼女レムリアに目を向け、
小さく口を開く。驚いたように。
「……お、すげえ」
遅刻生徒は思わずとばかりに口にした。男子生徒であり。
何が起こったかレムリアは承知している“誉れ高き美少女転入生”に初めて遭遇したのである。自分の容姿に対するウワサは知ってる。そうなることは相原学が予告していた。
「おいおいオバケかわたしは。こけるよ」
果たして遅刻生徒はよそ見のまま歩くが故に昇降口との段差に蹴躓いた。
「あっ!」
「言わんこっちゃない」
が、前のめりになるも、転ぶことはない。そこからドリルのように身体を宙でくるりと回してバランスを取り直し、両足で着地成功。
「着地完璧」
「え?は?」
遅刻生徒は目をぱちくりしておのれを見回し、彼女を見る。
何が起きたか把握していない。何が起こったの?と問う目。
「急いでどっか行って下さい。相原見てたら遅刻したとか言い訳にされたら困るんで」
「お、おう」
遅刻生徒は気を取り直してわずかな距離を走り、下駄箱で靴を履き替え、廊下を疾走。
バタバタバタバタ……。
「誰だ!走ってる奴は!」
「うるせえ馬鹿野郎!」
「何だと!?」
罵られた教員がトサカに来たようでガラリと戸を開け見回すが、遅刻生徒の姿は既に無い。
代わりに、自分たちの方に目が向いた。
「君か今のは」
んなわきゃあるか。
「うるせえ♡馬鹿野郎♪」
しなを作って女の子~な声で言ってみる。罵るの意ではなく比較してご覧あそばせ……通じるか。
「そうか、そりゃすまん。遅刻だぞ」
「ええ。担任には話してあります」
大嘘。
「そうか、判った」
トサカ教員は自分の教室に引っ込んだ。
隣でクスクス笑い。諏訪君である。
「何か面白い?」
「姫……ちゃんさんといると何だか色々面白い。ゲームのスキル発動してない?」
嘘はつきたくないので微笑み返し。
悪い予感。
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