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【理絵子の夜話】圏外 -07-

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「はぁ、うるさかった」
 と、トンネルを出るのを待っていたかのように、熟年ハイカー達のお喋りが始まる。わいわい、がやがや。声だけ聞いていれば遠足バスだ。
更に5分で電車は湖畔の駅に着いた。
 ハイカーがどっと降りる。結果、車内は、彼女たちを除けばほんの数名という有様になった。ここがハイキングコースの起点なのだ。
電車が動く。
 そこから次の駅、そして下車駅までは、距離的には“常識の範囲”。
 下車する。降りたらすぐに改札が目に入った。“天狗の位置から乗れ”はこういう意図か。
 改札を通ると上り階段。しかも
「何この長さ!」
『駅を崖っぷちに作ったので、崖の上にある駅前広場まで階段です。頑張って昇って下さい』
「部長。先立つ不幸をお許し下さい」
 息を切らして階段を上ると6時8分。駅前広場にはタクシー1台と、ロータリーの真ん中に小型のバス。
 メンバーがぐったりと座り込む。
「朝も早くから何この虚脱感」
「ここからさらに1時間バス?」
「遠い日本より近くのグアム」
「部長、先立つ不幸をお許し……」
「勝手に抜けてなさい。勝手にグアム行きなさい。勝手に死になさい。私は念のためにトイレに行く」
「あっ」
 女の子達は気付いたように立ち上がった。

 小型のバスは定刻になっても動こうとしなかった。
 バス停は一つ、バスは1台。時刻表も合っている。バスに表示された行き先も予定のものだ。しかし、バスは動かない。
 どうしたことかと見に行くと、運転席で運転手が寝ているではないか。
 ドアをコンコンと叩く。
「……!?。わあああっ。すいません!」
 若い男性運転手は、慌てて居住まいを正し、帽子をかぶってエンジンを回した。

(つづく)

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