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2019年7月27日 (土)

【理絵子の夜話】圏外 -13-

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 バスは川べりの橋の前に止まった。橋のたもとには、“旅荘塙に行くには橋を渡れ”旨、看板が立っている。バス通りとはここでお別れ。
「ありがとうございました。とっても楽しいバス旅でした」
 理絵子は紙幣を手渡しながら言った。距離と人数があるので、結構な額になり、料金箱に紙幣はNG。
「こちらこそ。久々に面白かったよ。帰りも会社に連絡くれれば、当日の担当にココに止めるよう言うよ。あーこんなにいらない」
 運転手は500円返してよこした。
「え?」
「君たちは100円の回数券を5冊買いました」
 1冊当たり1枚分、すなわち100円サービス。5冊で500円サービス。
「どうもすいません」
「いいえ。良かったらオバケ情報教えてね。会社のホームページからメール出せるようになってるから」
「は~い」
 バスが走り去る。手を振る彼女たちに、運転手はクラクションを2回鳴らして応え、カーブの向こうに消えた。
 静かになる。橋の下のせせらぎだけ。
「さすがに涼しいね」
「これだけ山奥だとね」
「あとどのくらい?」
 理絵子は田島に訊いた。
「歩くと10分くらいかな。いつもは車で来るから見当つかない」
「まぁ10分ならいいか」
「出発~」
 川を渡ると車一台やっと通れる道である。アスファルトもひび割れてボコボコであり、もう何年も修復していないのが一目瞭然である。両側から樹木が覆い被さり、木のトンネル状態。
「確か“赤毛のアン”にこんなシーンがあった気が…」
 竹下のその台詞に、そばかす娘の中井がすかさず反応する。
 道の真ん中に立って。
「まぁ、なんて素敵なのかしら。私、ここに名前を付けたわ」
「現実はそう素敵でもなかったり……」
 中井の台詞を今里が遮った。
 立ち止まって行く手を指差す。道路を横切るロープ。
 否、ロープ状の生命体。

(つづく)

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