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【理絵子の夜話】圏外 -15-

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 フラットな荷物室。
「はいどうぞ。女の子の8人。これだけあれば充分」
 宅配便の荷物のように運ばれるというわけだ。もちろん、違反である。
 8人が同じ思いを抱くが口には出さない。これに1時間より、おもろいバスで正解だった……。
 さて、乗る段となると、女の子とはいえ8人である。小さく縮こまらないと全員は無理。
 いわゆる“体育座り”で全員収まったところで、女将さんがワンボックスをバックのままで動かして行く。けっこうな振動がゴツゴツと尻に伝わる。
「自衛隊のクルマで移動って、こんな感じなんだよね」
「そこでそういう例えが出るか?普通」
 砂利道を下って、ワンボックスが止まった。
「着いたよ。ようこそ、旅荘塙へ」
「部隊整列!」
 ワンボックスの後ろのドアが開くや、田島が言った。“自衛隊”の今度は隊員というわけだ。
 彼女たちはテキパキとワンボックスを降り、横一列に並んだ。
「黒野部長以下文芸部8名。ただいま到着であります。宿営地隊長殿、お世話になるであります」
 このコントに女将さんは乗ってきた。
「元気で礼儀正しく結構であります。部屋は2階の奥です。荷物を置いたら下へ降りてくるように」
「了解!」
 敬礼しあう女性達の上を、青い翼のオオルリが滑って行く。

“旅荘塙”は民宿であって、“宿”と看板が出ていなければ、見てくれは2階建ての民家である。
「おじゃましま~す」
 従って、玄関先で靴を脱いで上がり込む際の台詞は、自ずとこうなる。
「はい~。遠いところようこそ。綾ちゃん、案内お願いね」
 女将さんが改めて頭を下げ、少女達の脱いだ靴を次々下駄箱に収めて行く。
「あ~涼しい」
「こっちだよ」
 田島がメンバーを階段へと連れて行く。
 理絵子は列の最後から上がり込もうとし、鴨居のそれに気付いた。
 御札。陰陽道(おんみょうどう)において封印に使われる札。
「どうかしました?」
「あ、いえ、顧問に到着の連絡を……」

(つづく)

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