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2019年9月18日 (水)

【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -15-

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「じゃ、空飛んでみる?」
 レムリアは背後の船を指さしそう返した。諏訪君は任して大丈夫であろうし、容態が落ち着くまで少しかかる。
「あの、どういう……」
 女性が困惑の表情を浮かべる。まぁ、自分たちの会話は常識的には非常識だろう。
「これ、空飛ぶんですよ。数分で済みますので、お嬢さんを空の散歩に連れ出してもよろしいですか?私(わたくし)はこういう者です」
 IDカードを見せる。この船に乗り組む前から所属する国際救助ボランティアは世界的な知名度もあり、大丈夫であろう。
「メディア……。え、ちょっと待って下さい。医療派遣団にいる日本語ペラペラの女の子って……魔法の国のお姫様と……」
 そうやって日本の雑誌で紹介された。
「ええ、魔法の国の姫様です。でも、帰化しました」
 女性は目をまん丸に見開いてレムリアを見つめた。
 少し整理する。彼女レムリアの生来の名は前述の通りメディア・ボレアリス・アルフェラッツという。欧州東端の小国で、中世魔女の輩出で知られたアルフェラッツ王国のれっきとした王女である。日本にいて異国の娘と気づかれないビジュアルをしているが、日本語は話せる言語の一つに過ぎない。数年オランダで一人暮らしをし、国際救助ボランティアに属して看護師として活動、縁あって結婚前提で日本に帰化した。なお、空飛ぶ船は更に別途所属している極秘救助チームの所有物であり、レムリアはそちらで使うコールサイン。
「私だけってのは、だめ」
 女の子が両腕で大きなバツ印を作った。
 レムリアは小さく笑った。その意図を判じたからだ。
「私は動けるからまだいい。でもずっと寝たきりの子もいるし、出し抜いて私だけとかイヤだ。魔法なら、全員にかけて」
“魔法の国のお姫様”は驚愕事項ではないらしい。
 そして、志の表出であろう言動は立派の一言。
「判りました。みんなの病室を回るよ」
「じゃぁ、ついてきて」
 女の子は自ら車いすのホイールを回してエレベータの方へ向かう。

(つづく)

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