【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -16-
エレベータの扉が開いて先ほどの小倉医師。
「ああ、まだここにいたのね。あら、ゆみさんと一緒?」
「小倉先生。この人、魔女だそうです」
「知ってるよ。王女メディア・ボレアリス・アルフェラッツ。彼女が子供達に笑顔をもたらした時、それは奇跡の始まる合図。だからそう、人は彼女をこう呼ぶ、ミラクル・プリンセスと。当院へようこそ。あなたの御心のままにハイネス」
それは先回自分がここへ来て以後、何者なのか詳細に調査された結果。
ごちゃごちゃ説明する必要はない。
「ご快諾いただきありがとうございます。わたくしは子供達に笑顔になってもらうことがライフワーク。お昼休みあたりでどこかでみんなに集まってもらうか、個々の病室を回ることは可能ですか?」
「お昼は食堂ですので、告知して、興味ある子には残ってもらうつもりです。でも、動けない子もいます。そうした子達には……」
「今からでも病室を訪ねていいですか?」
小倉医師はフッと笑った。
「もちろん。姫君、あなたの言葉には、あなたとの会話には限りないポジティブを感じる。何でも可能になると思わせる強さを感じる。どうぞ」
小倉医師はエレベータのボタンを押した。
4人で乗り込み、ケージが降りて行く。
「魔法って何が出来るの?」
ゆみちゃんが訊いた。
「飛べる?」
「ほうきにまたがるんじゃなくてさっきの船だけどね」
リンゴーン、とでも表現するか、電子チャイムと共にエレベータケージが停止。
ドアが開いて声一つ聞こえない。ただ、耳を澄ますと幾らか電子機器の動作音。
生命維持、呼吸アシスト、そういった機器類。生きることにそうした機器類が絶対必要な子供達。
個室のドアをノックして訪なう。
「巡回です。こちらメディア王女。2階の笹倉あゆみさん。糸田さん」
糸田さんはゆみちゃんの付き添い担当の方のこと。
あゆみ?ゆみじゃなくて?
「先生やめて。私はゆみ。歩けないあゆみなんてシャレにもならない」
「ごめんなさい、ゆみさん」
その部屋は男の子。ベッドに横たわり、機器類とホースやケーブルで接続され、動けない。
レムリアは正面に回る。
「こんにちは。今日はマジックショーを見てもらいに来ました」
手のひらを見せ、握り、開き、あめ玉。
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