【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -18-
「魔法は一朝一夕で使えるようにはなりません」
と言って、袖口掴む手を広げ、手のひらで包んで握らせる。
おまじないを掛けるように指先を向けてくるくる。
「まず、助手をやって下さい」
指先で握り拳を1回つん。
「開いて」
ゆみちゃんが言われるまま開くと、マシュマロが一個入った小袋。
「あ!」
「出来た。素質はあるよ。一緒に行きましょう」
すると、また、袖口を掴まれる。
「ん?」
「隣の部屋。みわちゃん」
彼女は日曜朝に放映される女児向けアニメが好き。変身して悪と戦う。
「ああ、そのグッズなら少しあるよ」
レムリアはそのままマシュマロを再度握らせた。指つんで開くと今度はそのアニメキャラの缶バッジ。
ゆみちゃんは首を左右に振った。
「違う。変身させたい。服があるんだ」
車いすを動かしてレムリアを先導する。隣室引き戸をノックして、しかし返事を待たずに開ける。
「ゆみだよ。こんちは」
再度声を掛けるが返事はない。ゆみちゃんは勝手知ったるとばかり、部屋に入ると壁際を指さした。
ハンガーで変身コスチュームが下げてある。
誰かいる。
「え?相原さん?」
ちょっと鼻の詰まったような声だが諏訪君だとすぐに判った。その声の故は鼻の穴に酸素チューブを挿しているから。ベッドの傍ら車いすに座っており、背後に酸素ボンベが立っている。
彼の目が見開かれた。
「あ、先生……」
「抜け出しは感心しないな」
少女二人と共に立つ医師が手を腰に怒った表情。つまり、諏訪君は許可無しで病室を出て来た。
廊下を慌てて走ってくる足音。
「小倉先生!諏訪君がいなく……」
「ここよ」
「え?」
息を荒げた看護師が飛び込んで来、みわちゃんの病室へ顔を突っ込む。
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