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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -20-

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「これはミサンガと言います。仲良し二人が付ける時、切れると二人の願いが叶います。その時私が必要であるなら、私はそこに呼ばれます。これではダメですか」
 ゆみちゃんは少しの間何も言わず、ただ、自らの手首を見つめた。
「二人の願い……」
「そう、みわちゃんの願いでもあるし、ゆみちゃんの願いでもある」
 ゆみちゃんはレムリアに目を向けた。
「私の……」
「そう」
 ここでレムリアは合点がいった。
 彼女は、ゆみちゃんは、自分のことは自分でしたい。可哀想な女の子と見られたくない。
 彼女の願い。
「助手を頼める?さっきも言ったけど」
 目を見て笑みを返す。
「いいけど、助手って何を?」
「一人でヒョイヒョイお菓子出しても、それだけで終わっちゃうから、二人で面白いコトする」
 ヒョイヒョイと言いながら、レムリアは自分の手のひらを交互に開閉し、都度お菓子を出してぽろぽろこぼした。
「ああ、こぼれてるよ……」
 諏訪君が拾いに掛かる。
「諏訪君も助手その2で」
「え?」
「あはは、お兄ちゃんなのにその2!」
 ゆみちゃんは笑った。

 館内放送があって程なく、食堂に集まってくる子供達。
「今日はホスピスのお年寄りも見えています」
 小倉医師はレムリアに目配せを交えた。
 入院している子供達と、お年寄りとの交流機会を持たせる医療機関、施設が増えている。相互に刺激になったり、思い出話を通じた過去の伝承など、身体的・知性的にプラスになる面が多いという。
「判りました。あまりビックリするような内容にならないように。えっとね……」
 助手二人に段取り説明。諏訪君は“魔人トンキン大王”。みんなに配ったお菓子を取り上げてしまう。ちなみに病院として寸劇は時々やるようで、小高いステージがあり、ホワイトボードを利用して緞帳の代わりに目隠しされている。
 なので下半身は客席から見える。
「配ったお菓子横取りして歩くの?」
「みんなの間を歩き回るだけでいいよ。これ着て」
 指をパチンと鳴らすと衣服が替わる。黒マントに福岡市の郷土芸能“博多にわか”の垂れ目マスク。

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 みわちゃん爆笑。
「魔王!これで魔王!!」

(つづく)

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