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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -22-

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「みんなにはお菓子を配りますね。後ろの扉から、助手のゆみちゃん」
 客席後方の扉を指さす。引き戸が開いて車いすに乗ったゆみちゃんと。
 さてここで彼女が変身している正義の味方について、実在の商標名を避けるため仮称を与える。二人ペアで活動するが、“ボレアリス”と“メリディオナリス”とする。
「メリディオナリスだ!」
 女の子達が気づいて声を上げる。
「車いす乗ってんじゃん」
「ケガしたんでしょ」
「ちょっと待て、後ろなんかいるぞ」
「ナリス!後ろ後ろ!」
 番組中ではそれぞれ名前の後ろ3文字、アリスとナリスで呼び合う。応じた子供達の指摘。
 メリディオナリスが振り返る、と、“トンキン大魔王”はドア影に隠れる。
「誰もいないよ?」
 メリディオナリスはみんなに言った。
「違うって。ドアの影に隠れた」
「そう?」
 メリディオナリスはドアを開ける。
 引き戸を開け。向こう側に回り、廊下を歩いて前のドアから戻ってくる。
「誰もいないよ?」
 その背後。
「いるって!後ろ後ろ」
 メリディオナリスは後ろのドアの方へ目を向けた。
「違うよ。背中!背後!振り向いて!」
 やりとりしてる間に“大魔王”は姿を消した。
「んもー!」
 焦れた子が後ろのドアから廊下へ飛び出す。
「あれ?」
「ね?誰もいないよ」
 その時子供達は、看護師や補助の方まで、全員が廊下を見た。
 刹那。
「あ!いた!」
「がはははは。とんきーん!」
 大魔王の決めぜりふと共に、ステージに座らせたぬいぐるみは大魔王に変わっていた。
 お菓子いっぱい抱えて。なお、大魔王は車いすに乗っておらず普通に立っているのだが、その変化に気付いた者はいない。
「大魔王がおかし取った!」
「これは“成敗案件”じゃないすかアリス」

(つづく)

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