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【理絵子の夜話】圏外 -35-

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 部屋の奥から足音。
「そうだよ」
 おばあちゃん。
「あの塚には、埋めてあるんだ。亡骸がね」
 少女達は息を呑む。
 朝の話には続きがあったようである。すなわち、舞台を落としたはいいが、そのままでは女の子達の遺骸が見える。そこで、上から石をガラガラ落として埋めた。
 後年、地震で山津波(土石流)が発生、遺骸はバラバラになった。さすがに可哀想だという話になり、拾い集めた遺骨を埋め、供養した。それがあの塚。
「なんかあたし腹立ってきた」
 若井が言った。
「塚で花火って、そんな過去のある場所を面白半分で扱うってことでしょ?…可哀想」
「うん」
 頷き合う少女達に、おばあちゃんは小さく笑った。
「あんたらみたいなのだったら、浮かばれるのかも知れんな……」
 おばあちゃんが奥の部屋へ戻る。ちなみに、後で田島に聞いたところによると、おばあちゃんは体調が優れず、洗面等以外は部屋で寝ているという。
「なんか、恥ずかしいわ」
 女将さんが床に座り込んで言った。
「因習というか、古くさい陰湿な部分ばかり見せてしまってる気がして」
「いいえ。私たちが如何に幸せか、しみじみと思い知らされます」
 と竹下。
「そうなぁ、リアルに少女の人身売買って現代でも存在するからな。それに比べりゃうちらは……」
 話が続かなくなる。
 プリンも完食。
「どうも、この話になると、雰囲気下がるわね」
 と女将さん。
「いいえ。そろそろノリだけで時間潰すのやめて、真剣に作品制作にかかるべきだと思ってましたから」
 理絵子は言った。
「そーお?」
「ええ。おい野郎共、行くぞ」
 へ~い。と7人が男の声を真似し、一列でゾロゾロと本来の作業スペースである2階へと上がって行く。

(つづく)

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