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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -23-

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 テレビアニメだと二人は赤と青のコスチュームに変身“星の命で成敗いたす”と決めぜりふを言って、以下、古い表現を使うなら“女だてらに殴り合い”の戦闘、となるが。
 レムリア改めボレアリスは大魔王の傍らに膝を折ってしゃがんだ。
「どうせ成敗されるの判ってるなら戦わないでお菓子返してくれない?」
 敵方の決めぜりふは“話し合いなど無駄だ!力こそ全て”なのだが。
「え?それなに?話し合い?戦わないの?」
「そう話し合い。見ての通り相方ケガしててさ」
 ど派手な戦闘転じてちまちました話し合い。このコンセプト全否定は子供達を大いに笑わせた。
「泣きべそかいて帰りたくないでしょ」
 負けた敵は泣きながら土の中に消えて行く。
「いやそれは……てゆーかこのお菓子食っていいか」
「だめ」
 突如現れた漫才のしばき用具“ハリセン”で軽くぺしっ。
「武器禁止!暴力反対!」
 大魔王は両の手で頭を抱えて泣き真似。
「お前がゆーな!」
 子供達から爆笑付きで突っ込み。
「これは話し合いなど無駄なようだな」
「来た!」
「来た来た」
「じゃんけんで」
「その手でやるのか?」
 大魔王は台所で熱い調理器具を持つ時に使うミトンを付けている。親指とそれ以外の4本に分かれたタイプであり、“チョキ”が作れない。
「あらかわいいお花のアップリケ」
 メリディオナリスが挑発しながら車いすで駆け寄る。
 そこでボレアリスは立ち上がる。
「“影踏み”で勝負。いかが?」
 射し込む陽光に出来た影、ボレアリスは指さした。
 車いすでも出来る。
「トンキンは車いすの影を踏みなさい。メリディオナリスは“ターミネーションステッキ”でトンキンの影をつつく。一発勝負」
 ボレアリスは両の手を合わせ、左右に開き、宝石プラスティックキラキラのステッキを出現させ、メリディオナリスに持たせた。
 看護師らがハッとした顔で見る。その作法はアニメのやり方そのものだが、実際にやってみせるのは手品の範疇。
 だが、子供達はなまじアニメと同じが故に現実の異常性に気づいていない。ちなみに、“ステッキ”と称するが、番組中では指揮棒サイズで取り出し、釣り竿よろしく振り出すことでステッキサイズに伸びる。おもちゃとして指揮棒サイズが販売されており、先端に大きなダイヤ様の透明プラスチックが輝いている。

(つづく)

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