【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -24-
「トンキンって呼び捨てかい」
「そこ突っ込むかい。真剣勝負。私は鼻くそほじりながら見てるよ。どう?やる?」
ボレアリスは双方の目を見た。
「トンキン覚悟なさい。星の命で成敗いたす」
メリディオナリスがステッキを振り下ろし、地面(ステージ)を指し示す。指揮棒サイズからステッキにシュッと伸びる。
「え?すげぇ」
「おもちゃじゃないの?」
“おもちゃを手品で取り出した”その認識を超える事象であると気づき始めた子供達が数名。
「いいだろう。本気だぜ」
トンキン大魔王が足を前後に広げて身構える。
「スタート」
ボレアリスの指パッチンがいやに大きく響いた。
トンキン大魔王は男の子の機動力にまかせて車いすの影を踏みに回った。
一方車いすは左右の車輪を逆向きに回すなど、人体では不可能な急旋回・逆進を交えて逃げ回った。
圧倒的かつ短時間と見られた勝負は白熱した。
「おおすげぇ」
「トンキン頑張れ。ああ逃げられた」
男の子の中には大魔王の応援に回る子も出るほど。
大魔王は次第に息を荒げた。当然、彼の病気を考えるとこの辺が潮時。
メリディオナリスがステッキを弓のようにつがえる。
「チェックメイト」
これでアニメでは虹色のビームがほとばしって敵がぐえー、となる。
ボレアリスは左の人差し指を自らの唇にそっと当てた。
誰にも聞こえない声でつぶやく。それは呪文なのであるが、意味だけ記す。ただ一つ強く思うこと姿を現せ。
すると。
遠くで何かに反射したようで、太陽光線がキラリと部屋の中に射し込み、ステッキ先端端の“ダイヤ”をプリズムにして、7色に分かれた。
ビーム、でこそないが、天井を七色の光が波打つように走った。
トンキン大魔王、バタリ。
「すげー」
「魔法みたい」
勝負としてはこれでノーサイド。
3人はステージに整列した。
「これで私たちのショーは終了です。最後まで見てくれてどうもありがとう。最後にこのお菓子もらっていってね」
ステージ上のぬいぐるみを指さした後、頭を下げる。指をパチンと鳴らすとぬいぐるみの手にお菓子があふれ出してステージからこぼれ落ちるほど。
拍手をもらう。お開きとなり、子供達が帰り始める。
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