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【理絵子の夜話】圏外 -42-

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「帰れ帰れ!」
 主人氏が塩を某にぶつけた。
「ご託宣はたくさんだ!村八分構うもんか!このインチキ拝み屋め」
「なにっ!」
 某の表情に逆上の色が浮かんだ。
 主人氏に向かい、勢い付けて振り返る。
 その時。
 衣冠束帯の“冠”が、神棚に触れた。
 衝撃で、榊の入った小さな花瓶が、某の首筋に倒れかかる。
 当然、中の水はこぼれる。
「わっ!」
 首筋の冷たさにびくりと身体を動かした結果。
 某は踏み外し、神棚の御神酒、塩もろとも階段を転げ落ちた。
 無様な仰向けになったところに、首元から御神酒、塩が流れ込む。
 そこで慌てて身を起こしたため、御神酒は塩を溶かし込みながら、某の身体を伝い。
 傷の癒えない“男子本懐”へ。
「……!」
 もう神職の威厳もへったくれもない。アルコールと塩の連合軍に某は股ぐらを押さえて七転八倒。
「痛い!痛い!」
 闇雲なブレイクダンスとでも評すべきか、あまりの勢いに夫婦はしばし見物した。むろん、2階から女の子達も。
「罰当たりが。落ちる時骨でも折ったか」
 主人氏が吐き捨てる。
「さぁ。あ、御神酒クースーにしたんだけど、ひょっとしてそのせい?」
「……なんだ?」
「あんた昨日一升あけちゃったじゃない。今朝の御神酒が無くてさ。料理酒じゃ失礼だし、一番上等のを、と思って」
 女将さんが言った。クースー。古酒と書き、沖縄の長期熟成の泡盛である。
 アルコール度数は70を越す物もある。
 某の動きが痙攣気味になってきた。
「救急車救急車」
 夫婦がようやく動き出した。

(つづく)

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