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【理絵子の夜話】圏外 -43-

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 理絵子は自作自演の一部始終を夫婦に話した。予感した“事件”とはこれのことだったのか。
 否、最初予感したものとは様相が異なる。明らかに、当初より内容が変化している。
 その要因と考えられるものとして、自分たちがおばあちゃんの忠告に従ったこと、これは恐らく大きい。
「詐欺です。霊感商法と何ら変わりありません」
 結論を理絵子は言った。
「そんな……」
「ホラ見ろ。やはりインチキだ」
 主人氏が腕組みして胸を張る。
 ちなみに、霊感商法は“霊感がある”と見せかけて行うものだが、この某の場合、なまじ持っているものだから尚タチが悪い。
“超能力詐欺”とでも言うべきか。困るのは日本の警察ではその辺の検証・証明システムを持たないことだ。
 と、この辺りから、宿に電話がひっきりなしにかかってくるようになる。
 その殆どが無言電話か、老年と思われる人物からの悪口雑言である。
 内容は“旅荘塙は悪霊憑き”。
 某が集落じゅうに吹聴しているか、或いは搬送先の病院で喋った内容が口コミで広がっているか。
 この手のウワサは否定するのが非常に難しい。“先生”がそう言っているのだ。こちらの言い分は最初から全部ウソ。狼が来るぞ、だ。
「ウチの神様に天罰食らったヤツが何をぬかすか」
 主人氏は電話線のプラグを壁から抜いた。
「君たち気にするな。何か来ても追い返す」
 主人氏は玄関に弁慶の如く仁王立ち。
「作業してていいよ」
 言われて、ハイと2階に上がる。とはいえ、この状況では落ち着いてイラスト描いていられるわけもなく。
「どうするよ」
「私たちのせいと言えば私たちのせい」
「でも無罪なわけで」
「けどさ」
 自分たちに泥を塗られた一面もある。だから、自分たちの手でなんとかしたい。メンバーの意志を理絵子は感じた。

(つづく)

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