【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -30-
疑義の声が上がった。女子生徒で成績が良かった記憶がある。
「ガンマ線って原爆とか」
「よく分からないから、レントゲンは方程式と同じで謎のXとしてX線と呼んだ。追ってガンマ線の一員に含まれることが判った。それだけですよ。続けますね。放射線に被爆すると遺伝子を壊される。これがヤバいんで大騒ぎになるんですが、放射線にはそこらを元々飛んでいるものと、さっき言った放射性セシウムや放射性ヨウ素を体内に取り込んでしまって、体内で放射線を出される場合の2パターンがある。体内に取り込むと、ずっと同じ位置にいて、ずっと同じ細胞に放射線を浴びせ続ける。なので、ヤバいんです。で、ヨウ素は甲状腺に取り込まれやすい、セシウムはカリウムと性質が似ていて、血液に乗って全身を巡る。存在量が半分になる半減期はヨウ素が8日、セシウム137が30年。セシウムは土の中や動物の体内にも溜まるので30年が重くのしかかる。以上ですが、諏訪君が福島にいたから何だって?」
沈黙と困惑が教室を支配する。が、数秒。
「それって放射能持ってきた……」
そこで相原学が小さく手を上げて説明する。
「高度に汚染された地域には行っていませんし、移動に際してはセンサで放射性物質の付着が無いことを確認しています」
それはまるで伝染病対策の問答である。ちなみに実際そのような“イメージ通り”の放射性物質の付着が起こるとすれば、高度に汚染された地域……核反応が生じている直近になる。無論、そんなことはあり得ない。
「センサはこれです」
と、相原は宙に掲げて一同に見せる。片手で抱えるサイズのジュラルミンケース。
中を開くと虫眼鏡の親戚のようなセンサ部と、ケーブルでつながった液晶の数値表示部。
取り出して電源を入れる。ちなみにこういう“非日常”のキカイが出てくると男の子が幾らか興味を持つ物だが、この場は逆に避けるような雰囲気。
「ふーん……それで諏訪は良くても、その病院にヤバい奴がいて吐く息とか汗とかに付いてるかも知れないだろ?」
別の声。もはやウィルスのキャリア扱いである。逆に言えばそういう認識が“放射能・放射線”に対する一般レベルということであろう。
レムリアだけに届いた相原学の心のため息。
が、相原学は眉根ひとつ動かさず、
「菌のようにうつったりはしません。仮に、呼気や汗を介して付着したとしてもクリーニングやエアシャワーで除去可能です」
「クリーニング程度で落ちるのかよ!」
「ヨウ素は気体として、セシウムは液体で存在し、それぞれガスや微粒子として浮遊しています。従ってエアシャワーにより容易に除去が可能です」
「食い物や飲み物に入ってるんだろ?」
「汚染された飲食物は摂取していません。そもそもありません」
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