【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -34-
「この機械は国際放射線防護委員会の基準に基づき、1年間1ミリシーベルトを超える可能性のある放射線を検出すると警告を出すようにしてあります。身につけてられたコイツはそれを越えてます。規制されたので裏で出回りました。海外の安いもの……まぁ、引いちゃいましたね」
相原学は校長から指輪を受け取った。
「そんな……」
「だから!」
彼女は会話に割り込んで一喝した。しゅんとした雰囲気で大声を出したので盛大な効果があった。
「よく知りもせず放射線と聞くだけで全て悪いと言いつのるはただの無知。昆虫と言うだけで毒も害も無くても殺そうとするのと同じ愚かな行為。で、本当の危険に気づかない。私の物言いはロジハラですかね。危険を持ち込んで常時ばらまいていたのはどこのどちらさんですかね。節穴は誰ですかね!」
彼女は責め立てた。その傍らで相原学は機械に付属している金属の引き出しを開け、受け取った指輪を収めた。防護ケース。
警告表示が消える。
「あのう……」
恐る恐る、という感じで発言したのは男子学級委員の辰野。
「はい」
相原学が相対した。
「僕ら、それで被爆したんですかね」
「1年間浴び続ければ……というレベル。こちらさん見えて30分ほどか?レントゲン1回分も被爆してないよ」
安堵の雰囲気が辺りを包む。
対して。
「で?放射能キチガイがとんでもねぇ放射線ばらまいてたわけだが、この落とし前はどう付けるんですかねおばさん」
平沢は“怒れる男”であった。
「オレのみならず、オレの友達までうつるだの来るなだの、あんたの言ったことやってることは“いじめ”のバイキン扱いとどう違うんだい」
これは母親のみならず、校長を含めた教員の注目を浴びた。
「オレ、みんなより早く声変わりして、脇毛も生えて、ワキゲ野郎ってずっと言われた。あと、ワキガだったらしくて、女子は陰で臭い臭い言って近づいてこなかった。でも、相原さんは違った。ただの個体差だし、臭いはいい薬があるからこまめに塗ってりゃ気がつかないよって言ってくれた。それに何より、普通に友達として喋ってくれる。
だから、オレは、知識無く理解無く諏訪君にガタガタ言う奴は絶対に許さねぇ。たとえ人の親でも、先生でも、だ。柴崎、お前今度諏訪君に何か言って見ろ。顔に脇の下擦り付けてやる」
あ、いや、それはちょっと……と彼女は思ったが遅かった。
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