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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -36・終-

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 次いで、彼女は相原学を指さし、
「こいつから聞いた理屈の私なりの理解は以上です。でも、反感、不信感、理解したがたい等々あるでしょう。それは否定しませんし、詩織かーちゃんみたいに理屈以前の問題の場合、和解はあり得ません。ただ、闇雲に怖がるよりは理屈知ってた方が安心出来る領域は増えますし、何より指輪みたいな失態は起こりません。さてこれで普通の女の子に戻って普通の授業に戻りたいですが、質問と言っておきたいこと、あれば」
 見回すと挙手したのは校長。
「ど、どうぞ」
「博識にびっくりだ。あなたは放射能が怖くないのかな?」
「誰かが言ってたんですが“正しく怖がれ”だと思います。医学、看護学、生物学に興味がありますが、食べ物に天然物の放射性物質が入っていますし、温泉周辺のラドンガスなんかも放射性同位体があると知識として持っています。そして、そういう環境で生きてきたのが地球生命ですので、放射能自体は多少あっても問題は無い。ただ、毒となる領域はあるので、危険を判断する能力は付けておくに越したことはない。それだけです。飛び降りると危険な高さを知ることと同じかと」
 すると校長はゆっくり頷き、
「なるほど。僕は後から来たから、あなたがどのように説明したか判らないけれども、放射性物質の話は中学生ではすぐに理解出来ないレベルの内容が多いと思うが、どうやったら正しい理解が得られると思うかな?」
「まず、大人が正しく理解することではないでしょうか。ネット広告で変な健康食品よく見ますが、そんなのがはびこるのは“科学する心”が大人達に足りないからだ、とこの人が言ってました」
 相原学を指さす。
「なので受け売りですが同意です。そんなに健康に対する効能があるなら医者が使うって。放射線も同じ。体内に大量に入らなければ問題はない。こういう言い方すると暴言とか言われますが、理論上はそうだと知っておくのが知識だと思います。ただ、この問題は理屈が面倒くさいので、親子で勉強する、というのもアリかと。優等生的な物言いですけどね」
「なるほど、ありがとう」
 校長は笑みを見せると、生徒達の方を向いた。
「さて皆さん、そういうわけで私は“放射能”に基づく誤解と、誤解に基づく差別は今後生じないと信じたいのですが、よろしいですか?」
「はい勿論です」
 と答えた平沢……以外の生徒達に、それでも残るためらい。

転入生担当係/終

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