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2020年9月 2日 (水)

【妖精エウリーの小さなお話】デジタル -03-

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「そうですか。実は他の生き物たちからも、似たような“気配は感じるが、存在が見えない”何かがいるという報告を受けています」
 私は遭遇箇所を地図にプロットします。その特徴を抽出というか、特異な内容を解析というか。マハラノビス・スコアという数値を計算させます。
 特徴キーワード“電気”。
「えっ?」
〈どうかされましたか?〉
「いえ、その、謎の存在は電気と関わりがあるようで……御長老はこれまで、電気と関わりの多い生命のようなものに御知見をお持ちでらっしゃいますか?」
 生命と電気。典型はデンキウナギの類い、および生物といえど神経信号の伝達は電気。
 ただ、生命そのものの構成体に電気が関わるというパターンは知らない。
〈夜、星々と言葉を交わしますが〉
「はい」
〈我々は大地に広げた根と、中空に広がる枝先との間に距離があります。天と地の間に大いなる電気が加わる時、それは雷がそうですが、根と葉先とで電気が異なります。それと同じことが輝く星空であっても起こることがあると聞きます〉
「それはオーロラ……」
〈ではありません。時を今に向かうに従い、多く起こるようになって来たものです。ただ、人間の言葉でなんと呼ぶのか我々には判らない。どうお伝えすれば良いか〉
 自然界以外の電気現象は、現状、人間さん起因以外にあり得ません。今に向かって増えてきた、というのも、それなら納得出来ます。
 ただ、人間の皆さんから天国が見えないことでお分かりのように、次元を隔てているので、空間に依拠する存在である電気も当然こちらには影響しない……。
 はず。
〈星々は語ってくれます。例えば、これはヒントになりましょうか『無から有が生まれた故に、全ての根源はただ一つ。なれば真の隔たりなどありはしない。時を超えるものは容易に往来する。大いなる黄泉の星はその身の回りに止まった時をまとい、彼方が永久を経ても古(いにしえ)のまま』〉
 その言葉、妖精族の私が語るに相応しいかどうか判りませんが。
 アインシュタインに端を発する宇宙論を思わせる言葉です。
 つまり、宇宙は“無”から多数生まれたとされています。“ビッグバン理論”および“インフレーション宇宙論”と呼ばれる物です。宇宙は無数あるとされ、そうした中に私たち妖精の暮らす“フェアリーランド”と人間さんの暮らすそれぞれ別の宇宙がある、なのかも知れません。その真偽はともかく、元が一つなのだから、時間を移動して始まりの頃を経由すれば行き来も出来るでしょう、というのが“容易に往来する”までの話と解釈出来ます。

(つづく)

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