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2020年10月28日 (水)

【妖精エウリーの小さなお話】デジタル -07・終-

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 自ずと否定、拒否の意思が混じってしまいました。何故ならこの巨大生命には、過去に100光年規模の電子化生命圏を包んで“食事”し、以後、その文明圏の電気エネルギが皆無になったという記憶があるからです。それに基づけば、この者の“食事”は文明を破壊した。ただ、この者には、伴って夥しい数の生命が失われた、という認識はありません。砂粒に付いたウィルスのようにあったことすら知らないのでしょう。
 敵意はない。しかし、その意のままに振る舞われればこの星は滅びる。
 執るべき手段は一つ。私はつながっている仲間達を通じて呼びかけます。

 天空の神々よ、雷司る大いなる方々よ。この者をその存在に相応しい場所へ導いて。

 この願いはそれぞれその地に住まう私の仲間達を通じて、各地伝承の雷神へともたらされました。ギリシャのキュクロプスたち、エジプトのセト、ケルトのタラニス、ヒンドゥーのインドラ、日本の火雷大神……。
 ドーン……擬音にするとそうなりましょうか、遠雷の音があちこちから届いて来、驚いた鳥たちがその都度バサバサと飛び回り、鳴き声を上げます。
〈雲一つないのに雷?〉
〈アポカリプティックサウンドだよ〉

-精の者よ。

 私を呼んだのは火雷大神。
 白い装束をまとい、大剣を手にした姿でイメージされます。

-汝の願いを我らへ。

 それは私の意思を神々へ見せよ。その意志の強さに応じて神々の力が解き放たれる。
 そのようにお訊ねになられた意図。……このガス状生命が滅びるから。
 地球生命を守るために、このガス生命を殺してしまうが、良いか。

 私は、この者を、この者に相応しい場所へとお願いしました。その意思に迷いはありません。

-仕った。

 電界形成。
 神々の意図はそこまで判りました。
 地球をプラスに、ローカルバブルの外縁をマイナスとする“電圧の掛かった領域”が発生しました。

-これは……。

 何が起こるか判ったようです。“電気の塊”ですので、“電圧の掛かった領域”に入れられると、プラスとマイナスがバラバラになります。
 生命体の“生命活動”が暴走を始めました。秩序だった動きに外部から引き裂く力が働く。

-お前、何者。

「私の名はエウリディケ。この星に住まい、共に生きる生き物たちの相談を請け負う者」

 雷の音がし、ガス状生命が一瞬で引き裂け、囲繞していた“気配”が消失し。
 5分ほどして、これまで見たこともないようなオーロラが、風に乱舞するカーテンのように地球全体に出現しました。

デジタル/終

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