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【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -07-

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 要は授業を抜け出して悪さを働く中学生徒を見つけて報告する監視員。その手の生徒がいないという学校はないであろう。
「別に気にせずそのまま」
「え?」
 驚く平沢を尻目に、彼女はそのまま速度を緩めずスタスタ歩いて行く。
 もちろん、巡回監視員は制服二人を見つけるや、真っ直ぐに進路を取って向かってきた。
 この時、彼女は小さく数語呟いたのであるが、平沢が彼女の声を聞き取ったかは定かではない。
「こんにちは」
「はいこんにちは」
 彼女は会釈し、果たして監視員は笑顔でそう返し、普通にすれ違った。
 平沢は呆然。
「あの……」
「気にせず。コソコソするから疑われる。大義と正義は我らにあり」
「そういうもん?」
「そういうもん」
 住宅街を横切り、西端に達する。視界が開け、正面から左側は下り急斜面に沿って墓地、右側はさらに見上げる角度で続く崖で、土留めのコンクリート擁壁が陽光を反射してギラギラしている。
 その擁壁と墓地との間、斜面下へ向かい設置された長い階段を降りて行く。
 彼女はこの地に住んで半年もないが、ここへ来たのは初めてだ。
「ここを通ってるわけ?」
「走って上り下りしてんだ。いいトレーニングになってる」
「それすごい高負荷じゃない?」
 彼女は答え、背後から声が掛かる、と察した。
 事前に判る。それは予感というか、その人が自分たちに意識を向けたからそうと判った。
 平沢の叔父に当たる人物。“捜索”に馳せ参じたのは説明するまでもない。
「進。学校じゃなかったのか」
 彼と共通する低く響く声。彼は立ち止まり振り返る。
「あ。学校に相談したら事情を判ってくれてさ……」
「そちらは?」
 レムリアのこと。
「クラスメートの……」
「相原姫子と申します。准看護師ではありますが資格を持つので、多少お手伝いできるかと」
 手を膝前にしてぺこり。
「おお、例のお前が大好きな女の子か!」

(つづく)

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