« 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -10- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -11- »

【理絵子の夜話】サイキックアクション-05-

←前へ次へ→

 背中合わせに登与が一言。
〈死。破壊。虚無……あなたを亡き者に出来ればそれでいい。肉の身を奪い心むき出しにしてその心弄び狂わせる〉
 霊的生命はいずれも男性的特徴を露わにした。性的な方向か。それは棒状であると知るが、全部つながってリングになっている。それに自分たちは囲繞されている。
 ならば。
 変な話男性同性愛を扱ったティーンズノベルの応用である。性的に気持ちよくなって頂く。心理的バイブレーション。リングが膨張し、赤らんでビクビク震え出す。
〈達する直前に寄越せ!〉
 声があった。戦女アルヴィト。“気持ちよくなった”霊的生命は一瞬だが状況を見失った。その一瞬に彼女に引き渡す。
 アルヴィトは聖剣で全員切り刻んでしまった。
 これに大変な驚愕を示したのが“黒い顔”であった。沈む太陽のように闇へ消えようとする。
〈逃がすな!〉
「オン・ロケイジンバラ・キリク・ソワカ」
 十一面観音の真言。
“守護”
 この場で用いるべき力のベクトルとは真逆の方向であろう。理絵子自身、なぜこの言が口を突いて出たか知らぬ。それは黒い顔もそうであったようで、驚愕からか動きを止めた。
 その状態は霊的な時空と肉体世界との接続点が時空構造を壊して出現している状況であって、急激な気象的擾乱を励起した。唐突に雲が起こり発達し、雷鳴轟いて雨が滝。
 周囲に迷惑がかかる。長い時間は掛けられない。理絵子は認識し、黒い顔と対峙した。
 神話の挿絵に出て来るゼウスを思わせるヒゲ男。
 が、ニンマリと口を開き、歯が剥き出され、よだれを垂らす。サディスティックでやや狂が入った笑み。
-滅す-
 黒い顔の意志は明確であった。自分を消滅させる。
 示唆が来る。この真言を遣わしたのは真言自身。つまり、言霊(ことだま)。
 言霊は言う。我を解け。
「ドシャコ!」
 理絵子は口にし、空中を“デコピン”のように中指で弾いた。
 現実世界に突き出た顔に天空から聖剣一閃。
 アルヴィトが突き出た首を切り落とした。

(つづく)

|

« 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -10- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -11- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -10- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -11- »