【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -11-
人の心を追える能力が人の心をつかめない。能力不足か、テレパシーでそんなことするのはおこがましいのか。
認知症については、一晩でなってしまったとかあるにはある。が、布団は綺麗に畳んであるなど、その可能性はあまり感じない。もっとも、あまり良い言葉ではないが“まだらボケ”と呼ばれる認知機能が短時間で正常と非正常を行き来する現象もある。
そこでピロピロ言う電子音。着信待ちで窓際に放ってきた衛星電話。
「失礼」
メールである。受信しに戻る。テキストを繰ると、所属団体が“画像を受領した、どこを検索すればいいか”。
おばあさまが通りそうな場所。
「ここから三春に行こうとすると?東京駅までは?」
「中央線で東京へ出て、だな」
最寄り駅の名前と東京を伝える。
「でも警察も同じところを探してて、何も連絡が来ないよ。兄貴がそろそろ郡山についたと思うが……電話してみるか」
叔父殿がポケットを探りながら部屋を離れる。あー、もしもし……。
彼女はラジオを手に取る。ご位牌と遺影はそのままということは、家出的なニュアンスは感じない。
ラジオから感じ取ろうとする。蒸気機関車、咲き誇る大きな桜。
俳句の同好会。その宴席。
届いた誕生の知らせ。
それが、最も、そして、繰り返しの“思い”であるなら。
「行ってみましょう」
「三春へか?」
「少なくともそこへ向かったのなら、途中途中で手がかりが掴めると思う」
「でも防犯カメラには……」
ああしまった。テレパシーで探りながらなんて言えない。
「とりあえず、駅のカメラのハッキングしか頼んでないから。都度都度あのカメラは?とか要求しながら行こうかと」
そこへ叔父殿の大きな声。
「来てないってよ!」
しかし、ベクトルは三春を指向している。
レムリアは戻ってきた叔父殿に相対した。
「わたし、東京駅へ向かおうかと思います」
「ええ!?いやそんなそこまで他人様に……」
彼女はコンパクトカメラ裏側の液晶画面を叔父殿に見せた。
“加齢加工”してある。
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