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【理絵子の夜話】サイキックアクション -07-

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 アルヴィトの手に無からスッと弓が浮かび上がる。矢の代わりに剣をつがえる。
 弓が長大化する。馬上から地上まで達しようかという大きさとなり、対応して高さ方向にも大きくなる。
 合わせて4メートルにもなろうか、長大な弓の弦を引き、アルヴィトは何の迷いもなく放った。
 剣はびょうと音を立て風を起こして飛び出し、光となって走った。本橋美砂のプロペラと何ら干渉すること無く突き抜け、剣体と化したクリュサオールに正面から突き当たる。
 剣と剣の正面衝突。
 金色の光の球が出現した。
 電気の短絡アークそのものを思わせた。
 但し、生きている。
 目を射る光の塊……肉の身を持つ3人の娘に対する攻撃。
「これは私!」
 言って、動いたのは登与であった。彼女に啓示が降りたと知る。
 フェンシングのそれの如き細い剣を天空に向けて一閃。
 何か構造が変わったと理絵子は理解した。
 一転、暗渠になり、登与の突いた一点は光る穴と化した。
「ピンホール……」
 美砂の認識に理絵子は後ろを向いた。
 プラネタリウムの円弧画面のように、投影された、影。
 小さな、小さな、人影。
 アルヴィトの弓が今度は細い細い金の糸に変わっている。それは彼女の髪の毛を伸ばしたとした方が視覚的には似合った。
「虚像」
「でしょう。私たちが相手にしていたのはこの小さいのが投影していた幻」
「悪意はちっぽけなきっかけが増幅して行く……」
「その権化でしょう……にしては」
 これで終わりとは思われない。
 友や友人……守られている……彼らの攻撃は自分たちに収斂している。
 ……破裂する。それは登与が“突いた”ことで出現した球体の袋のこと。そこに穴が一つ開き、ピンホールの役目を果たした。
 その“袋”が。
「破裂させてはいけない!」
 癒やされない憎悪……それがアルヴィトの剣によって巨大に増幅されて出て来る。
 時空を割る。
 すなわち、この世に悪が満ちる。それが目的!?
 全知全能よ我に力を。
 臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前(りん・びょう・とう・しゃ・かい・ちん・れつ・ざい・ぜん)!

(つづく)

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