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【理絵子の夜話】サイキックアクション -06-

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 それは理絵子にギリシャ神話の一場面を思い出させた。見ただけで石に変える魔女メデューサの退治である。
 同様に黒い顔が雄叫びを発し、その首が剣を打ち込まれた反動で仰向けの角度で動いて切断され、上の方へ弾け飛んに、泡のように変質して消え。
 そして、噴水の如く噴き出した“血”が何かに変わった。
〈大量のサソリになるんじゃ……〉
 と、登与。対し理絵子が得た示唆。
〈クリュサオール〉
 メデューサの血から生まれたとされる物……天馬ペガサス、サソリなど毒生物、そして姿と形の伝承無き怪物、クリュサオール。それは黄金の剣を持つという。
 果たしてそこにはケンタウロスを思わせる半人半馬の怪物があった。その手には金色の剣があった。
 対し、馬の蹄。
 戦女アルヴィトである。人間世界に白馬を伴い具象化した。
〈汝ら、我が髪に命与えよ〉
 それは以前、“お守り”としてもらった彼女の黄金髪の毛ひと束。理絵子は1本ずつ友と家族に持たせている。
 自分も一本常に持っている。りぼんに織り込んでいるが、そのりぼんを手にしたら白い煙のような剣に変じた。
 “意のままに”動く剣だと示唆が来た。登与のそれはフェンシングの剣を思わせ、本橋美砂は水晶の両剣だ。すなわち柄の前後双方に水晶で出来た刃が伸びている。
 クリュサオールが変化する。半人半馬の人の部分がサソリに変わり、その10本の手足は剣の態様。
 数で勝負か。
 アルヴィトが馬上から剣を振るう。切っ先が複数のナイフに分裂し、クリュサオールの手足剣先に拮抗する。
 すると……クリュサオールはそれ自身1本の大剣と化した。
〈魔剣か〉
 アルヴィトの呟き。魂宿した生きた剣……神話・SFでままある設定。
 そこに立ちはだかったのは本橋美砂である。念動を発揮し、両剣プロペラのように回して“面”の盾を形成。クリスタル・イージスという概念を受信。
 これは悪意の権化だ……クリュサオールの正体について、そんな示唆が来た。かつて一戦交えた死神とまた別物だ。目的は魂を屈服させること、恐怖と敗北をもたらせ。
 クリュサオールは手出しをしない。その理由を理絵子は知る。端的には本橋美砂の水晶イージスを突破できないからであるが、事態が膠着したわけではない。
 美砂の念力衰えてプロペラ威力下がることを待っている。
 理絵子はアルヴィトの傍らに立った。
 意志にする必要すら無い。超能力を意図して行使している理絵子にはマイクロ秒の単位で視界を解像できる。

(つづく)

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