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【理絵子の夜話】サイキックアクション -10-

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-我が選択は理絵子なり

 果たして魔剣クリュサオールは答えた。

-刃(やいば)有せぬ我が身は汝の剣身一部に能わず。されど理絵子に魔の動き伝える用はなすこと叶う。

「よかろう」
 果たしてアルヴィトは同意し、その剣を鞘に収め、唇の端に笑みを浮かべた。
「用あれば呼ばわれ。加勢する」
「ありがとうございます」
 アルヴィトは言い、元の簡素な衣を羽織った姿に戻り、馬上の人と化した。
 一鞭当てて異空間へ消える。この後理絵子が取ろうとしている行動を知った故。
〈クリュサオール〉
〈おそばに〉
〈導け。汝を我に差し向けた者の潜む場へ〉
〈恐れ多くも申し上げる。あの者は……〉
〈可否は私と仲間で決める。導け〉
〈……承った〉
「そばへ」
 やりとりを聞いた美砂が手招き。
 そこへ飛ぼうというのである。空中浮揚。彼女らは一カ所に固まった。
「感づかれて……」
「いない。私たちの思念を感じ取れていないはず。超能力ですべて分かると思っているから。私たちが消えたと思っているから」
「消した?」
「この子が毒を出してる。その毒に染まって届くから見分けがつかない」
 理絵子は柄だけのクリュサオールを握り直した。
「“デーモンコア”だな」
 美砂が言った。それはアメリカの研究所にあったプルトニウムの塊。一瞬でも取り扱いを誤ると核反応を起こして放射線を周囲にまき散らす。研究者が二人死んでいる。同様な心理的毒素の塊で、常人が相手にすれば気が狂う……そんな“魔物体”だと言うわけだ。
「私たちは明確に攻撃の意思を持ってるしね。それも毒の一部だし」
「行こうか」
 美砂が手を広げ、一行はすっと宙に舞い上がる。

(つづく)

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