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【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -17-

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「お年寄りを探しています。福島の方まで買ったと思うのですが……」
 加齢加工した写真を見せる。するとテレパス反応するより早く、お姉さんは困った顔になった。
「たくさんのお客様がいらっしゃるので、お写真と行き先だけでは……失礼ですが警察の方には?」
「届け出済みです」
 答えながら、“東京に行け”の示唆の答えを確信する。それは求めている解とは逆だが確実なもの。
 ここには来ていない。
「わたくし本日は2時間ほどここにおりますが、お見えになってないと思います。窓口の者にも訊いてみましょうか」
 それは列を成し切符を求めるこの人々を待たせ、切符を買わない尋ねごとを要求するもの。
 しかも、得られる解は判っている。
「あ、いえ、すみません。ありがとうございました……」
「お力になれずすいません……」
 先に頭を下げられる。いえ、いきなり無茶を言ったのはこちら。
 邪魔にならぬようとりあえず列を離れる。文字通り立ち往生である。東北へ、東海道新幹線で名古屋大阪へ。人の波は途切れず交錯し続ける。
 他の方法で向かった?
 だとしたらどうやって。鉄道に詳しい人……。
 相原学に訊く手があるではないか。ヲタクと会話できるレベルとは言っていた。
 衛星携帯を取り出す。ただ、屋内では電波が届かない。外へ出られるところは?
「空が見えるところへ出たい。一番近い出口は?」
 見回すと“八重洲中央口”。
「待って姫ちゃん」
 看板を見つけて走り出そうとしたら平沢に止められた。
「普通にホームに上がればいいと思う。中央線のホーム以外は全部屋根かぶってるわけじゃないから」
 新幹線最寄りのホームは10番線とか。一段高い新幹線改札前から階段使って降りて進む。オレンジ色の看板には東海道線……そう言えば大船(おおふな)まで乗ったし、それこそ相原学の勤務先は大船でモノレールに乗り換えと聞く。
 エスカレータももどかしいので階段を一段飛ばし。ホームに上がり、屋根の切れ目を見つけて衛星携帯のアンテナを延ばす。
 電波を捕まえた。

(つづく)

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