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【理絵子の夜話】サイキックアクション -12-

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 音がするような早さで眼前に落ちて現れる黒い毛むくじゃら。
 大蜘蛛であった。蛭に噛みつき、消化液を吐き付ける。
 “彼女”は霊界に住まう生物であった。
 蛭へのダメージは、その根源のありかを彼女たちに教えた。
 本橋美砂が腕を振り上げ。
 手の甲を地面に叩き付けるように振り下ろす。
 ほぼ、爆破と言って良かった。
 校舎一棟が風船のように破裂する。
 鉄骨とモルタル、夥しいガラスが一気に粉微塵と化し、360度飛び散る。
 遅れてドンと音がし、それら鉄骨やモルタル、ガラスが他の校舎に突き刺さり、割れ砕ける音がバリバリと広がり、応じて土煙がわき上がって広がる。
 土煙の中から現れる伽藍。宗教的中枢であることを示した。
 判りやすい。
「校舎はハリボテだよ。レセプションホールというか、この団体の迎賓館みたいな扱いにして実質誰も入れないようにしていた」
「罠」
「でしょ。分かり易すぎる。ただ、こいつらここから出てこないから、結局こっちから行くしかない。情報を収集して命令を下す。実際動くのは自分じゃ無い誰か。悪の基本だよ」
 本橋美砂は言い、再度、腕を伽藍へ向けて叩き付けるようにした。
 強大な精神動力を受け止めた者がいた。
「……何か悪霊憑き飼ってるね」
 弘法大師空海、役行者の小角、安倍晴明……強大な精神動力を駆使したと言われる人物は幾人か存在する。そのダークサイドが現代に現れた。
“拒絶と歓迎”を3人は同時に感じた。それが自分たちの肉体的属性……女性(えげつなくは少女であること)に起因していると知る。
「私らとせっくすがしたい。子供をもうけたい」
「侵略の足がかりとなる依り代が欲しいって?ご冗談を汚らわしい」
 どんと音がして大地の震え。
「地震……念動の」
 まさか、と3人は思ったが、確からしいと判じてさすがに若干震える。弘法大師空海は山を動かしたという。なれば、
 念動力で大地震を起こす……地域一帯が“人質”。
「どこにいる?」
「形は無いね。だから、自分が宿る胎児が欲しい」
「霊でおれば自在だろうに」
「肉体って強力なフィルタなんだよ。心に言うことを聞かせたい。霊の状態だと底意が見抜かれる。肉体の心は視聴覚でアクセスするしかない。意のままにしようと念動を打ち込むと死んでしまう」
「心操って何がしたい?」

(つづく)

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