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【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -20-

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「そうです。常磐線で太平洋側から入るルートです」
 彼女は平沢の顔を振り仰いだ。
 全ての点が一本の線に繋がった。
「お父様は郡山駅だって確か」
「そう……常磐線に行ったならそりゃ郡山で待ってちゃダメだよ。三春に着いてもまだばちゃんが着いちゃいねぇ」
「先回りしすぎたわけだ。すぐ三春へ戻ってもらって……えーと、ありがとうございました」
「いーえ。君たち三春に行くのかい?」
「はい。あ、いえ、家族が先に行ってますので」
 じゃぁ切符買って行け、となると困るので言を翻して頭を下げ、その場を辞す。“術”が解けた後、彼は何等か守秘義務に違反した等で処罰されるのだろうか。
「(意図したこと形を成さず)」
「姫ちゃんなんて?」
「えーとね、上野公園へ行きます」
「え?三春じゃなく……え、それってひょっとして」
 彼女は頷いた。
 彼は一度、その存在を見たことがある。
「レムリア案件ですから」
 階段上がってコンコースを逆戻り、“公園口”からICカードをピッして出場。その国立博物館や美術館、そして著名な上野動物園のある上野公園へ。

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(科学博物館前)
 外へ出てまず平沢進の父殿へ電話。
「タイムラグすごいからトランシーバみたいに語尾どうぞ、ってつけた方がやりやすいよ」
「ありがとう。……あ、父ちゃん進だ。ばあちゃんは上野から常磐線の特急に乗った。郡山には行ってない。すぐ三春へ行ってくれ。どうぞ」
 喋りながら二人は横断歩道を渡って公園内に進み、博物館類のある方向と逆、南側へ進む。著名な西郷隆盛像がある方。
『……警察から連絡来ないが?』
「上野駅で駅員に聞いた。どうぞ」
『……そのどうぞ、って何だ。まぁええが、上野にいるんか。上野?……そうか上野か、よく気付いたな。わがった。とにかく三春へ行くわ。お前は戻れ』
 平沢は困惑して彼女を見た。
「とりあえず『はい』で。んで、電話オフでいいよ」
「はい。どうぞ、あ」
 平沢は言われたままにはいと言って電話を切った。
「軍の無線みたい」
「平和を愛する姫ちゃんとしては不本意だけどレムリアとしては強力な相棒」
 電話を返してもらってニヤッと笑うと、公園の中でも比較的木が少なく開けた場所へ出る。

(つづく)

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