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【理絵子の夜話】サイキックアクション -16-

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 念動を駆使したと知る。“煙”が全て凍り付く。
 次いで雨となって降り注ぐ。
「どうやら、あらゆる物事に挑戦が仕込まれるようだね」
 美砂は言った。意識と目線を感じる。闇の中から自分たちを見ている。
 味方もある。
〈そばにいますぜ〉
 とは件の巨大クモである。
「来る」
 気づいた瞬間後ろに刀抱えた男がいる。以下、実際には刹那の認識であるが、そこで判ったことを細かく書くとこう。まず、男は戦国時代に近隣の山城で戦死した武士の地縛であり、敵方血縁者に取り憑かずにおけない。
 その戦は凄絶な殲滅戦で、城に残ったのは女子供ばかりであったが、皆殺しにされたという。
 応じた仕返しを女子供に。
 以上判った瞬間には“女子供”である彼女らに対し、侍の刀が振り下ろされるところであった。
 対する理絵子の反応は。
 真剣白刃取り。
 侍が驚愕で凝固した刹那、美砂が後を受け継ぐ。刀は見えざる力でぐにゃりとなり、反動で侍がよろけ、理絵子が手を離した瞬間に赤熱して溶解する。
 遠方より“槍”が飛来。
 否、フッと中空で姿を消す。次に現れるまでやはり一瞬であったが、その間にこれから起こる出来事を彼女らは察知した。
 登与がロザリオ片手に口走る魔法のフレーズ。
 そして日に向かってかざした手のひらに槍の先端が弾かれて甲高い音を立てる。こちらは弥生時代の縄張り争いであるらしい。
 そんな者が今後も次々沸くのか?
 否、一時的に“そういうもの”を遮蔽しておくシールドが外れただけ。
 なら、直せば良い。ただ、自分たちが維持する次元の存在ではない。
「キリが無い」
 理絵子は印契を切った。のうまくさまんだばさらだんかん。後は超常の皆様に委ねます。
 爆風の如き物が彼女らを中心に生じて吹き広がる。結界が生成され、封印が成された。
「終わった?おうち帰れる?」
 これは美砂の弁。勿論、そうは簡単に問屋は卸さないというニュアンスを含む。
〈何か来ますぜ〉
 クモが言い、巨体を具象化させ、彼女らの傍らに参じた。
「……アレクサンダー」
「まさか」
 それが正なら、アルヴィトが破れたことを示唆するが。

(つづく)

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