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【理絵子の夜話】サイキックアクション -18-

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騙されるか、彼は一瞬そう思ったようである。が、神性を備えた異国の娘に抱きしめられて彼は一介の“男”に戻った。
 “憑きもの”が剥がれる。
〈主(あるじ)よ、ここは我が……〉
 声と共に、理絵子の身の中から現れて貫く漆黒の長剣一閃。
 魔剣クリュサオールであった。黒い人型のようなものが中空で串刺しにされている。
〈美砂殿。我が力援用されよ。汝にしか能わぬ〉
 それは、美砂だけが、条件が整った時のみ、可能な力の発露を示した。
 瞬間移動テレポーテーション。但し彼女のそれは所要の目的地に送るものではない。
 時空を越えたいずこかへ投擲する。
 さらば……クリュサオールの感情と共に、パン!という、風船が割れたような破裂音がした。
 腕の中が脱力する。等身大の人形のように、にわかに筋骨が力を失い、グニャグニャになり、どころか皮膚が裂けどろどろとした内容物があふれ出し液化して広がり。
 骨と、“人体の70%は水分”を彷彿させる汚穢な染みの広がった姿に変わった。
 獅子王と、魔剣の意識が追跡できない。
「ゾンビだね」
 美砂が一言。理絵子は思わず我と我が身を見回した。それの残滓が付着してはいないだろうか……気にするなと言う方がムリ。
「整理していいでしょうか」
 登与が言った。

・地球在来種の魔族でもなく、外来のそれでもなく、人類が発達してくる中で獲得した魔性
・宗教や正義の名の下に精神肉体両面から攻撃をしてくる。ターゲットは“日本”

「国家国民?」
「恐らく。人類が獲得した魔性にとって、“和をもって貴しと成す”日本の在り方は気に入らない。征服者というスタンスが得られなくなるし、付随する人間としてのあらゆる快楽を欲しいままにする権力も存在しない」

次回・最終回

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