【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -25-
「身体と、頭を使うこと、これを重視している施設が殆どです。動物なんでもそうですが使わないと退化する。そして一番よくないのはたぶん、何もしなくていい、とか、高齢者だから何もするな、の類」
彼女はそこまで言って、
自分の言葉に気づかされる。“高齢者だから”……自分が今回疑ったのは認知症である。それは“高齢者だから”という勝手な思い込みそのものではないのか。
自己嫌悪。……あれ?
「姫ちゃん!」
「お、おいどうした!」
気が付くと庭に転落して平沢進に脇を支えられている。
「大丈夫か?急にぶっ倒れたから……」
しでかした間違いに血の気の引くような感覚が襲った。そうか、それは実際貧血起こしたのか……彼女はゆるゆると思惟を結ぶ。頭の働きが遅い。ごめんの言葉も出てこない。
すると。
「ここに寝かしたり。座布団丸めて、足を高くしで」
祖母殿が対応を指示している。彼女は父子に抱えられて縁側に戻され、足元と頭の下の枕代わりに座布団。
「ああ、血が出とる。進、テレビの下に救急箱あるから持ってこ」
「おう」
男たちがどたばた動く。
「おれのせいで済まんの。だがあんたの言う通りかも知んね。おれ、“ただ、いただけ”だっだがらな」
……こちらこそ決めつけてしまって大変失礼しました……言いたいが口が回らない。
自分が自分に激甚なショックを受けているせいだ、と冷静に分析している自分。
ショック……それは、勝手に思い込んだと気づいたこと……では、思い込んだその理由は?
多分、自分なら判る、という勝手な思い上がり。
額に傷があるらしく、脱脂綿でぽんぽんと叩かれながら涙が出てくる。
-お前、何様のつもりだ!
-姫様だ!
何を偉そうにふるまっていたのだろう。嫌いだという奴は放置しておけばよい。ただそれは自分の欠点・欠陥を自ら見ないようにすることに同じ。
「あら?痛かった」
傷に触れたら涙が出て来たことで、祖母殿は自分が傷の痛みでそうなったと思われたようである。
「頭打ったかもしれない」
「ええ?俺ギリで受け止めたぜ!?それはない」
「ありがとう。ごめんなさい……」
ようやく声が出せた。
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