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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -04-

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 そこまで読んでふと見ると、坂本美咲のナップザックのポケットには“天然水”のペットボトルが入っている。
 次、“友”のところ。要求事項。自分が読んでしまっていいのか?そうと知らずに自発的に動いてくれるように(そう仕向けるように)、事態を持って行くのが良くあるパターンのように思うが。
 ま、いいけど。
“あなたが友と認める者が真の友であるならば、その友は喜んであなたの頼みに応じてくれましょう。但し友が手に入れてくれたお相手の授かり物が、あなたの求めたものと相違しても、あなたは不平を口にすることも、猜疑心を持つことも、なしてはなりません。それは破滅を暗示します”
 あ、やっぱ良くない。が、時既に遅し。
“このことは、友の姿をした、しかし友でない者には伝えてはなりません。(虫食いで読めず)にも伝えてはなりません。隠しておいた全てが顕わとなり、あなたの望みは破壊されます。ただし、導く光に正しく従うならば、その光はあなたの正しい姿を教えるでしょう”。
 そこでレムリアは坂本美咲を見た。
「私があなたの“友達”であることを否定したら終わり、というかそもそも始まらないねこれ」
 坂本美咲がギョッとした顔で見返す。
「それって……」
「そんなこと言わないけどさ。逆に友達として言うけど取り組む姿勢が少し安易だよ」
 言うだけ言って反応は待たず続きを読む。ここまでを見る限りこの本は、オカルト乙女……追って“中二病” の一類型と知るのだが……に向けた、ファンタジックなおまじないではなさそうだ。北欧系の産業革命以前に書かれた、すなわち“本物の魔女”がいた時代の書物翻訳と感じる。
 ならば。
「紹介する作法は正しく実践されるほどに叶う可能性が大いに高まって行きます。対しお力賜る方への不義や作法への誤謬が重ねれば叶う可能性は減少に転じ逆に不幸への道が色濃くなって行きます。……なるほど。一つ訊きますが美咲ちゃん。あなたはあなたの思いを叶えるために命を懸ける覚悟がありますか?」
 彼女は少し音読して質問を投げた。
「命がけ?」
「そうです。彼は私が好きだと言ったのです。それを100パーセントあなたへ振り向けるのですから、応じた覚悟を要求されます。なぜならそれで誰かの運命が変わるかもしれないからです。魔法は元々最大の価値である命を対価に魔族を従え、欲望目論見を強制するものです。彼らかて天使精霊からの制裁リスクを背負ってまで誰かのために働いたりしない。割に合いませんからね。運命を変えるとはそういうことです。あなたの何かを犠牲して、あなたの目論見通りに仕向ける。そこまで真剣に考えてますか?

(つづく)

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