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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -06-

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 彼の名は諏訪利一郎(すわ りいちろう)といって、喘息の持病がある。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で通っていた病院が損傷、心配した両親親類の勧めもあり、東京多摩地区の叔父宅に身を寄せている。そこから中学校までの行き帰りに彼女レムリアが付き添い、さらに自称“ボディガード”として平沢進(ひらさわすすむ)が同行している、という次第。この10分程度の道程でレムリアと平沢は諏訪君から数学を教えてもらい、更に諏訪君を送り届けた帰り道、レムリアが平沢に英語を教えている。“二人一緒に歩いている”目撃はこの復路のスタイルによる。
 諏訪君が横断歩道を渡ったところで付き添いミッションは完了。
「じゃぁ小テスト返すね。」
 来た道を戻りながら、彼女は葉書サイズの紙を平沢に返した。自作の“成句”の小テスト10問10点。
 3点。
「マジか……ちょっと自信あったんだけどな」
「暗記は出来てると思うんだけど、スペルミスがね。soonがsonになってるし、それは息子。後はなんだろ、ローマ字読みしてそれをフィードバックしちゃってる感じ」
「あー、そうかも。でもどうやっても覚えられないんだ。どうしたらいい?」
 ここで彼に返した答案はコピーである。オリジナルは坂本美咲のために確保した。
「裏に練習問題を作ってみた」
 今回間違えた単語と、よく似た綴りや、発音と字面が一致せず覚えにくいものを並べ、隣に同じ物10個書け。
「書いて、何度も書いて、クセとして身に着けるしかないと思うよ。そうすると『ああ、練習した面倒くさい奴だ』って意識付けになるし、最終的には体が覚える。普通、文章書く時って、手を動かすだけで文字の順序とかいちいち考えないでしょ。そういうレベルに持って行くしかない。スポーツもそうじゃない?打つとか投げるとか、考える?」
 彼は野球部である。
「考えない。あー、そういうことか」
「楽して上達する道はなし。野球のスキル維持する練習鍛錬よりは単純で楽だと思うけど……ちなみにルーティンってどんなことしてる?」
 それは坂本美咲に“すすむくん情報”を教えるためであるとともに、routineという単語を実感を持って覚えてもらうためであり、比較して軽いでしょと思ってもらうためでもある。
「るーちん?」
「そう。決まり事のこと」
 渡した練習コーナーに一つ書き足す。routine。
「こんなスペルなんだ……えっとね」
 6時起きして柔軟、腹筋、腕立て。ランニング15分。素振り200回。反復横跳び15分。

(つづく)

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