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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -07-

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「はんぷくよことび?」
 帰国子女に分類されるレムリアはそれが何か知らないので訊いた。が、即座にシャカシャカ横ばいするようなイメージが意識に沸いて理解した。
 それは平沢が説明用に意識に思い浮かべた映像を直接彼女自身が見たためである。そういう能力を彼女は有する。知られた用語でテレパシーという。
「こう」
 平沢は実演して見せた。見た目学生カップルの片方がやにわに反復横跳びを始めたわけで、居合わせた人々が怪訝な目。
 小学生っぽい子供たち数名がゲラゲラ笑う。
「こう?」
 レムリアは真似して見せた。公園遊歩道で男女が反復横跳び。
 小学生たちは座り込んで爆笑した。
「おもしれー!」
 自分たちの所作が“ウケた”ことに平沢が気づいたらしい。彼はクラスで道化役だが、笑わせるのが大好きなのだという。
「おもしれぇか?」
「めっちゃおもろい!」
「そうか。これに“女神のレリーフ”を混ぜるとこうなる」
 女神のレリーフとは、どうやら古代エジプト王墓のレリーフに見られる、両手を広げて手のひらを上に向け、顔を横に向けたポーズのことらしい。
 ついでなのでレムリアも一緒になってそのポーズで左右に飛んでみる。
「あっはっは!」
「何これ!」
 子供たちに受けることそのものは自分としても本望だ。だから自分の場合マジックショーをやっているのだ。
「以上」
 ひとしきり笑わせた後、二人はピタリと動きを止め、何事もなかったかのように二人して歩き出す。
 背中でまだ笑っている子供たちと、笑顔の大人数名の視線を感じる。
「姫ちゃんイケるねぇ」
「長く入院している子供たち、施設にいる子供たち、お一人のお年寄り、笑顔が少しで増えれば素敵だと思って」
 途端、平沢は立ち止った。
 同時に感じる、彼が意識に受けた巨大なショック。
 振り返ると坊主刈り喉仏グリグリの180センチが涙ボロボロ。

(つづく)

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