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2022年12月

【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -09-

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 夕刻の四阿。
「わぁ……」
 レムリアの提案を聞いた坂本美咲は、まずは瞳キラキラで見返して来た。
「あの本にあったんだ。『あなたの友が真の友か魔女ならば、あなたが思う以上の強い機会をあなたにもたらすだろう。それを生かせば血を流す必要はない』……ありがとう」
 あ、そうなの?レムリアは声に出さず応じた。“血を流す”は取得した“相手が触れた経歴のあるもの”に血液を垂らすという儀式のことである。
 生命の根幹である血を捧げることで決意を示すものだが、その絵を想像するといささかグロテスク。
 回避できればそれに越したことはあるまい。
 しかし次の瞬間、坂本美咲はおどおどと目線を迷わせた。
「で、でもどうしよ。彼と話したことないんだよね」
「漫才がアドリブでできると思わない。シナリオが必要でしょう。作ればいいんじゃない?」
「手品そのものは?」
「私がやるから。美咲ちゃんはそれっぽく小道具扱ってくれればいいよ。えっとね」
 レムリアは立ち上がって左の腰元をパンと叩き、四阿の机の上にシルクハットを置いた。
「え?どこから?」
「企業秘密。それと」
 右の腰元を叩くとステッキがごろり。
「更にあなたの胸ポケットにハンカチ入ってるでしょ」
「え?は?嘘で……おお、あるがな」
 坂本美咲はブレザー制服胸ポケットに指を入れ、赤いハンカチを引っ張り出した。
「いつの間に……」
「私の小道具は大体この辺。おおむね、挨拶がてらお菓子を出現させて……シルクハットに手を入れてみて」
「こう?……え嘘でしょ」
 坂本美咲は言われた通りハットに手を入れて持ち上げた。一口サイズで小袋に入ったスナックにキャンディ。
「戻すと消えます。それをみんなに配って、まずはテレポーテーション系。ステッキで指したところからお菓子やおもちゃ……適当にステッキで指し示してみて」
「こう?あれ?」

(つづく)

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Noraを試用中

しっぴつかつど~は主に会社の昼休みなので、時代時代で極力小さい・軽いノートPCを持ち歩いていたが。

出張&在宅勤務用にタブレット持たされて状況が変わった。そうイザ出社となるとPC2台持ってくことになるわけ。タブレットで書けば「書く」こと自体は解決するのだが、それを私物PCへ引っこ抜かねばならない。定期的に社外へ送られるテキストファイル……怪しいべ?w

ココログに載せてるので、スマホからココログエディタを開いてもいいのだが、区切って載せてるから「とりあえず最後まで書く」にはちょっと向かないのだよ。

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小説エディタ「Nora」webあるいはスマホアプリでアクセス。基本無料。保存はクラウド。コピーして外部へテキスト取り出すことも可能。

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iPhoneでこう。ちなみにこれ、プロットや設定を書くエリア、資料のアドレスなど書けるように出来てるのだが、プロット立てないいきなり書きなので使ったことないわ。

さておきメリットとしては「ちょこちょこ」書けること。思いつきをメモって後からストーリー展開ではなく、その場で継ぎ足して行ける。レムリアなんか典型的な言霊娘だから、いつ「降臨」するかワカランので、「スッと入れる」のはメリット大きい。

以前のように一気に原稿用紙10枚分とか進まないが、逆にわずかな時間でも手軽に少しずつ進めて行けるのは良きかな。

あ、このお話自体の登場はもう少し先。

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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -08-

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「どうしたの?え?大丈夫?どこかケガしたとか?急に痛い?」
 彼女は言ってから、気づく。
 これは違う。
 そしてテレパシーによる察知がない。それは成り行き、示唆に任せるべき事象の証。
「判らねぇ……なんか……なんか、ぐわんってココを揺さぶられた気がして……その……ウケ狙いの目的が違うというか……」
 彼はココ、と自分の胸板をドンドン叩いた。
 今、彼の心に革命が起きる。レムリアは意識した。そしてそれは今ここで彼に明確化して良い。
 それは恐らく自分の使命。
 婿殿候補の時がそうであったように。
 ことばが、宿る。口を突く。
「その答えは私に言わせてください。君は容姿や言動のゆえにいわれなき排斥を受け続け、それに抗う手段として“受けること”を無意識に選んだのでしょう。それは、君自身のために、が最初の動機であったかも知れないけれど、もう、その役目を終えて君のスキルの一つとなり、君以外の誰かのために生かすステージへと進んだのです」
 果たして彼は茫然と彼女を見つめた。
「それは……つまり……」
「自分を守るためではなく、誰かのために」
「誰かのために……」
「うん」
 彼女はにっこり答えてから、ひとつ思いついた。
「いっぺん一緒に行ってみる?デイケアセンターのイベントねーちゃんやってるけど、ダンナだとマジックショーの助手は出来ても……そのなんだろ、“ボケ”がへたくそでさ。シュールなのはさておきスラップスティックなコントができないんだよ。さっきみたいなすっとこどっこいなギャグが出来れば」
「姫ちゃんと漫才?」
「うん」
 にっこり笑って頷く。
「マジで?」
「マジで。いつも手品じゃネタが尽きる。でも部活優先だよ」
 坊主刈りで輪郭もごつい彼の頬が見て判るほど朱に染まり、そして笑んだ。
「来週中間試験1週間前だから部活停止になる。それなら行けるぜ」
 ん?それっていいのか。
 ま、いいか。
「あとね、出し物に“魔女”を呼ぼうと思う」
「魔女?……」
 彼の眉毛が左右で角度を違えた。
「姫ちゃん充分魔女だと思うけど」

(つづく)

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