【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -09-
3
夕刻の四阿。
「わぁ……」
レムリアの提案を聞いた坂本美咲は、まずは瞳キラキラで見返して来た。
「あの本にあったんだ。『あなたの友が真の友か魔女ならば、あなたが思う以上の強い機会をあなたにもたらすだろう。それを生かせば血を流す必要はない』……ありがとう」
あ、そうなの?レムリアは声に出さず応じた。“血を流す”は取得した“相手が触れた経歴のあるもの”に血液を垂らすという儀式のことである。
生命の根幹である血を捧げることで決意を示すものだが、その絵を想像するといささかグロテスク。
回避できればそれに越したことはあるまい。
しかし次の瞬間、坂本美咲はおどおどと目線を迷わせた。
「で、でもどうしよ。彼と話したことないんだよね」
「漫才がアドリブでできると思わない。シナリオが必要でしょう。作ればいいんじゃない?」
「手品そのものは?」
「私がやるから。美咲ちゃんはそれっぽく小道具扱ってくれればいいよ。えっとね」
レムリアは立ち上がって左の腰元をパンと叩き、四阿の机の上にシルクハットを置いた。
「え?どこから?」
「企業秘密。それと」
右の腰元を叩くとステッキがごろり。
「更にあなたの胸ポケットにハンカチ入ってるでしょ」
「え?は?嘘で……おお、あるがな」
坂本美咲はブレザー制服胸ポケットに指を入れ、赤いハンカチを引っ張り出した。
「いつの間に……」
「私の小道具は大体この辺。おおむね、挨拶がてらお菓子を出現させて……シルクハットに手を入れてみて」
「こう?……え嘘でしょ」
坂本美咲は言われた通りハットに手を入れて持ち上げた。一口サイズで小袋に入ったスナックにキャンディ。
「戻すと消えます。それをみんなに配って、まずはテレポーテーション系。ステッキで指したところからお菓子やおもちゃ……適当にステッキで指し示してみて」
「こう?あれ?」
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