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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -08-

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「どうしたの?え?大丈夫?どこかケガしたとか?急に痛い?」
 彼女は言ってから、気づく。
 これは違う。
 そしてテレパシーによる察知がない。それは成り行き、示唆に任せるべき事象の証。
「判らねぇ……なんか……なんか、ぐわんってココを揺さぶられた気がして……その……ウケ狙いの目的が違うというか……」
 彼はココ、と自分の胸板をドンドン叩いた。
 今、彼の心に革命が起きる。レムリアは意識した。そしてそれは今ここで彼に明確化して良い。
 それは恐らく自分の使命。
 婿殿候補の時がそうであったように。
 ことばが、宿る。口を突く。
「その答えは私に言わせてください。君は容姿や言動のゆえにいわれなき排斥を受け続け、それに抗う手段として“受けること”を無意識に選んだのでしょう。それは、君自身のために、が最初の動機であったかも知れないけれど、もう、その役目を終えて君のスキルの一つとなり、君以外の誰かのために生かすステージへと進んだのです」
 果たして彼は茫然と彼女を見つめた。
「それは……つまり……」
「自分を守るためではなく、誰かのために」
「誰かのために……」
「うん」
 彼女はにっこり答えてから、ひとつ思いついた。
「いっぺん一緒に行ってみる?デイケアセンターのイベントねーちゃんやってるけど、ダンナだとマジックショーの助手は出来ても……そのなんだろ、“ボケ”がへたくそでさ。シュールなのはさておきスラップスティックなコントができないんだよ。さっきみたいなすっとこどっこいなギャグが出来れば」
「姫ちゃんと漫才?」
「うん」
 にっこり笑って頷く。
「マジで?」
「マジで。いつも手品じゃネタが尽きる。でも部活優先だよ」
 坊主刈りで輪郭もごつい彼の頬が見て判るほど朱に染まり、そして笑んだ。
「来週中間試験1週間前だから部活停止になる。それなら行けるぜ」
 ん?それっていいのか。
 ま、いいか。
「あとね、出し物に“魔女”を呼ぼうと思う」
「魔女?……」
 彼の眉毛が左右で角度を違えた。
「姫ちゃん充分魔女だと思うけど」

(つづく)

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