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【魔法少女レムリアシリーズ】魔法の恋は恋じゃない -11-

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「ステッキをどうぞ」
 振ると、先端から花束出現。
 坂本美咲は声も出ない。
「いかがでしょう。同じシナリオなら再現できるけど。私個人は動物をよく使うけど屋内イベントだとちょっとねぇ」
 レムリアは言いながら四阿の屋根の外、上空へ向かって手を伸ばし、オイデオイデの手つきをした。
 降りてくる風一陣。四阿の塀に止まる鳩。
 文字通りその辺にいるドバトである。丸い目で二人を交互に見、小首を傾げる。その仕草には知性をうかがわせる。
「呼んだの?」
「まぁ。はい、行っていいよ、ごめんね」
 レムリアは手のひらを開き、出てきたクルトンをひとつまみ鳩に咥えさせ、指をパチンと鳴らした。
 鳩がいくらかの羽毛を散らして飛び立って行く。
「すごすぎる……」
 坂本美咲は四阿の椅子、円形の壁に沿って配された木の板にへたり込んだ。
「平沢君ってあなたの手品見たことあるの?」
「フルコースはないよ。教室でやってる小ネタを見てる位。その辺はむしろ諏訪君が知ってる」
「諏訪君……」
 坂本美咲は口ごもった。
〝諏訪君が福島と地縁があるため、原発事故と絡んであることないこと言ってきた〟
「知っての通り平沢君は諏訪君の味方だし、諏訪君も呼ぼうと思ってる。どうしますか?」
 ちなみに彼に関わる風評被害の払拭にはこれ務めた。ただ、理論に基づく説明を〝ねつ造だ〟と言いつのる手合いはあった。
 坂本美咲は思い出したようにはっと目を見開いた。
「ルーンに訊いてみたい」
 それは今回拠り所としている魔法書の物言い、迷ったらルーンに訊け……ルーン文字の占いをせよ。
「そのシルクハットから出るよ」
 テーブル上、シルクハットに坂本美咲は手を入れた。
 文様の刻まれた水晶の小石。
 ギリシャ文字の〝Ψ〟に似ている。
「エルハツ(elhaz)……」
 坂本美咲は呟いて、そのまま水晶のルーンを見つめた。

(つづく)

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